ニュースレター Vol.48

ニュースレター Vol.48 page 6/8

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受賞記念講演会授賞式・祝宴の翌日、東京・有楽町朝日ホールで受賞記念講演会が行われました。「健康、医療技術」分野の受賞者であるジャネット・ラウリー博士、ブライアン・ドラッカー博士、ニコラス・ライドン博士....

受賞記念講演会授賞式・祝宴の翌日、東京・有楽町朝日ホールで受賞記念講演会が行われました。「健康、医療技術」分野の受賞者であるジャネット・ラウリー博士、ブライアン・ドラッカー博士、ニコラス・ライドン博士による鼎談が満屋裕明博士(熊本大学教授)のコーディネーションのもと行われ、慢性骨髄性白血病の発症メカニズム、並びに発症に関わる分子を標的とした治療薬「イマチニブ」開発の過程について、経験談が語られました。また、「環境、エネルギー、社会基盤」分野の受賞者である佐川博士は、世界最強の永久磁石であるネオジム磁石について、開発のきっかけや、磁石の構造について、エピソードや実演も交えて、わかりやすく説明されました。「健康、医療技術」分野「環境、エネルギー、社会基盤」分野左からコーディネーターの満屋博士、ドラッカー博士、ラウリー博士、ライドン博士最強の磁力を実演する佐川博士テーマ白血病ねらい撃ちテーマ世界最強「ネオジム磁石」はこうして生まれたラウリー博士は、白血病に特有の、小さな22番染色体は、9番染色体との組み替えによることを解明したことや、その後、多くの優れた研究により、組み替えによって生まれた22番染色体上の遺伝子(Bcr-Abl遺伝子)が作り出すプロテインキナーゼが造血細胞の異常増殖をもたらすというCML発症の全容が解明されたことについて説明されました。創薬プロジェクトで大きな役割を果たしたライドン博士は、「開発当初は、プロテインキナーゼ遺伝子ファミリーは比較的少数であったため、CMLの発症原因となるプロテインキナーゼを選択的に阻害する薬剤を探すのは難しくないと思われていましたが、その後、新たな発見が相次ぎ、阻害薬候補は、500に届くほどになり、苦労しました。」と話されました。ドラッカー博士は、臨床試験での果たした役割やイマチニブが2001年に日本でも治療薬として承認され、多くの患者を救えたことについて話され、また、「体内の標的分子にアプローチする手法で、ヒトのがんを治療できるという概念は確立しました。私たちの目標はより多くのがんを撲滅することです。」と力強く語られました。「科学者が発明を成し遂げる瞬間はさまざまです。私は大学の基礎研究では、残念ながら良い研究者になれなかった。しかし、企業の研究者として課題を与えられたときには、頭の中からは重要なアイデアが次々と生まれてきた。」と話されました。続けて1978年に行われたシンポジウムを聞いた時の『ひらめき』により、原子半径の小さな炭素やほう素などを加えた合金を作れば、鉄同士の原子間距離を広げられるのではないか、というアイデアからネオジム磁石を開発し、広く社会に貢献できるようになったと語られました。さらに博士は「自分の頭の中にあるアイデアで社会の課題を克服できる科学者や研究者ほど素晴らしい職業はない。」と科学者を志す若者達へのエールを送られました。受賞記念講演会の様子を動画で配信しています。www.japanprize.jp