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2016年1月26日

2016年(第32回)Japan Prize受賞者決まる
「物質、材料、生産」分野は材料科学者の細野秀雄博士、
「生物生産、生命環境」分野は植物遺伝学者のスティーブン・タンクスリー博士に

 

公益財団法人国際科学技術財団(理事長 矢﨑義雄)は本日、2016年(第32回)日本国際賞(Japan Prize)の受賞者を発表しました。「物質、材料、生産」分野では「ナノ構造を活用した画期的な無機電子機能物質・材料の創製」に貢献した細野秀雄博士(日本)が、「生物生産、生命環境」分野は「ゲノム解析手法の開発を通じた近代作物育種への貢献」に対してスティーブン・タンクスリー博士(米国)が選ばれました。両博士には4月に予定されている授賞式典で賞状と賞牌が贈られます。

東京工業大学元素戦略研究センター長であり同大学応用セラミックス研究所教授を務める細野博士は、ナノ構造を活用することによって元素や化合物の固定概念を打ち破る数々の電子材料や物質を創り出しました。たとえば、電気伝導性を示さないとされていた透明アモルファス酸化物を使って半導体を開発。そのひとつであるIn-Ga-Zn-O(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素)系薄膜トランジスタ(IGZO-TFT)は省エネ性の高い液晶ディスプレイとしてパーソナルコンピューターやタブレットなど、現代のごく身近な生活の中に実用化されています。さらに、大型の有機ELテレビにも実装が開始されています。この他にも、セメント材料から電気伝導性をもつ化合物を創り出したり、超伝導には有害とされる鉄を含む高温超伝導体の発見など、ユニークな視点から材料科学の新領域を開拓し、産業にも大きく貢献してきました。

コーネル大学名誉教授であるタンクスリー博士は、ゲノム解析により作物の染色体地図を作成。その後、果実の大きさなど生産性に関連する遺伝子を同定する革新的技術を開発しました。これまで、主として経験と勘と偶然に依存していた品種改良に科学を導入。ゲノム情報と育種技術とを融合した博士の研究は、育種期間の大幅な短縮や品種開発の確実性の向上に大きく貢献しています。博士の研究は世界中の研究者らに大きな影響を与えています。博士の研究に端を発するDNAマーカーの開発とその利用による育種(Marker Assisted Selection = MAS)は計画的な作物の改良を可能にする新機軸の技術で、食糧の安定生産につながっています。現在、多くの作物でMASの利用が進んでおり、作物だけでなく、家畜改良にとっても不可欠なものになっています。

両博士は各々の分野でオリジナリティにあふれた研究を行い、その成果は科学技術の進歩、さらに、人類の平和と繁栄に著しく貢献しました。2016年日本国際賞授賞式は4月20日(水)に東京で開催され、各氏に賞状、賞牌と各分野に対し賞金5,000万円が贈られます。

2017年(第33回)日本国際賞の授賞対象分野は「エレクトロニクス、情報、通信」と「生命科学」の2分野で、現在、財団が選んだ世界各国の学者、研究者などの有識者に受賞候補者の推薦を依頼しています。

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