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2018年1月30日

2018年(第34回) Japan Prize(日本国際賞)受賞者決定
リチウムイオン電池の開発において大きな貢献をした吉野博士
現代免疫学の礎となる基本コンセプトを構築したクーパー博士・ミラー博士

「資源・エネルギー、環境、社会基盤」分野
photo吉野 彰 博士
「医学、薬学」分野
photoマックス・クーパー博士 photoジャック・ミラー博士

公益財団法人国際科学技術財団(理事長 矢﨑義雄)は本日2018年1月30日(火)、2018年(第34回)Japan Prizeの受賞者を発表しました。本年は「資源・エネルギー、環境、社会基盤」分野と「医学、薬学」分野を授賞分野として選定し、「資源・エネルギー、環境、社会基盤」分野では吉野彰博士(日本)が、「医学、薬学」分野ではマックス・クーパー博士(米国)とジャック・ミラー博士(オーストラリア)が選ばれました。

「資源・エネルギー、環境、社会基盤」分野の吉野博士は「リチウムイオン電池の開発」、「医学、薬学」分野のクーパー博士とミラー博士は「Bリンパ球・Tリンパ球系列の発見とそれがもたらした疾患の病態解明と治療法開発」がそれぞれ授賞業績となりました。※研究概要につきましては次頁をご参照ください。

また、4月には「Japan Prize Week(日本国際賞週間)」と称し、受賞者が来日しての様々な行事が予定されており、4月18日(水)には国立劇場にて授賞式、4月19日(木)には東京大学伊藤国際学術研究センターにて受賞記念講演会を予定しています。受賞者には、授賞式において賞状、賞牌及び賞金5,000万円(各分野)が贈られます。

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吉野 彰 博士

1948年1月30日生まれ(70歳 日本)
旭化成株式会社 名誉フェロー
名城大学教授

<授賞対象分野>
「資源・エネルギー、環境、社会基盤」

<授賞業績>
リチウムイオン電池の開発

<研究概要>
リチウムイオン電池は充放電を行える二次電池の一種で、スマートフォンやノート型パソコンの電源として現在のモバイル社会を支えています。また、最近は、普及が進む電気自動車にも搭載され、走行時の環境影響物質の排出量を低減するのに貢献しています。吉野博士は、リチウムイオン電池を考案し、それが充放電を行えることを1980年代初めに実証しました。当時は、リチウム金属を負極とする電池が研究の主流で、正極材料や非水系の電解質溶剤に関する研究が盛んでした。吉野博士は、コバルト酸リチウムを正極、カーボン系材料を負極とし、独自のセパレーター技術、集電体技術と統合的に組み合わせることで、高電圧でエネルギー密度が高く、寿命の長い二次電池を考案、実証しました。リチウムイオン電池の性能は、材料や製造法の改良で向上を続けており、今後もさらに応用が広がるものと期待されます。

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マックス・クーパー 博士(写真左)(写真下)

1933年8月31日生まれ(84歳 米国)
エモリー大学 医学部 教授

ジャック・ミラー 博士(写真右)(写真上)

1931年4月2日生まれ(86歳 オーストラリア)
ウォルター・アンド・イライザ・ホール 医学研究所 名誉教授

<授賞対象分野>
「医学、薬学」

<授賞業績>
Bリンパ球・Tリンパ球系列の発見とそれがもたらした疾患の病態解明と治療法開発

<研究概要>
マックス・クーパー、ジャック・ミラー両博士は、体内に侵入してきた異物に対する適応免疫をつかさどる2つの主要な細胞系列、「Bリンパ球」と「Tリンパ球」の存在を明らかにしました。Bリンパ球が抗体を産生して病原体などの異物を攻撃する一方、Tリンパ球はウイルスに感染した細胞やがん細胞を攻撃したり、Bリンパ球の抗体産生を補助したりします。ミラー博士は、謎の臓器とされていた胸腺がTリンパ球誕生の場であることをマウスを使って特定し、クーパー博士は、適応免疫に機能の異なる細胞系列があることを予見して、ニワトリを使った実験で2種類の細胞系列の存在を実証しました。両博士の先駆的な業績は、その後半世紀あまりにわたる免疫学の基礎・応用研究の発展の礎となりました。近年、注目を集めるがん治療薬や、免疫疾患に対する新薬も、両博士の発見があったからこそ誕生したと言えるでしょう。

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