歴代受賞者

2001年(第17回)日本国際賞受賞者

環境適合材料の科学と技術分野
環境調和型高エネルギー密度リチウム二次電池用電極材料の発見

 

テキサス大学教授
1922年生まれ
授賞理由

 グッドイナフ博士は固体科学の多くの分野において顕著な業績を挙げ、基礎科学に多大の貢献をした。特に遷移金属化合物の伝導性、磁性及び超イオン伝導体の研究で著名である。また、材料科学の広範な分野の研究成果と優れた洞察力によって、高性能電池用カソード材料を発見し、高容量可搬型電池の実現の道を拓いた。

 同博士の発見によるリチウムコバルト酸化物(Li1-XCoO2)は層状構造を持つ酸化物で、リチウムイオンが電解液を、電子が外部回路をそれぞれ移動することによって、結果的にリチウムがこの酸化物に挿入・引き抜きされる。リチウムコバルト酸化物をカソードに用いたリチウムイオン電池は4Vの高い起電力を持ち容量も大きいため、高いエネルギー密度を持つ。軽量高エネルギー密度の二次電池はこのリチウムコバルト酸化物の発見によって実現された。

 リチウムコバルト酸化物は層状構造であるが、同博士は三次元スピネル構造のリチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)がリチウムイオンの挿入・引き抜きの出来る二次電池カソード材料である事も見出している。また、コスト、環境、保存性などの視点から新材料の探索を行い、ナシコン型酸化物(Li3Fe2(PO4)3)など新しい材料も提案している。

  リチウムコバルト酸化物をカソードとして用いたリチウムイオン電池は、エネルギー密度が従来の二次電池の約3倍となる。極めて軽く、軽量性が強く要求される可搬型情報機器電源として必要不可欠であり、情報機器の急速な普及とともに生産量も急激に増大しつつある。今後もいっそうの需要増大が予想される。鉛、カドミウム等の有害物質を含む二次電池の置き換えが可能となり、環境保護の面でも重要な役割が期待される。また、博士の研究に基づくリチウムマンガン酸化物カソード材料も近年多くの研究者により活発に研究されており、すでに実用も始まっている。マンガン系材料は資源量の点で優れており、それを用いた二次電池の本格的実用化は希少資源保護の立場から見て意義は大きい。ハイブリッド車、電気自動車用を目指した開発が進み実用化に至れば、CO2排出量削減に大きく貢献すると思われる。

 このように、リチウムイオン電池は、情報機器を通して社会に大きく寄与しているが、ハイブリッド車、電気自動車への実用が実現されれば、地球温暖化ガス(CO2)削減に多大の寄与をするものと考えられる。従って、広く深い固体科学の研究を基礎に、他に先駆けてリチウム挿入化合物探索指針を確立し、環境にやさしい優れたいくつかの実用材料を開発したグッドイナフ博士の貢献はきわめて大きく、2001年日本国際賞を授賞するに相応しいと考えられる。

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