歴代受賞者

2005年(第21回)日本国際賞受賞者

情報・メディア技術分野
自然言語処理及び画像の知的処理に対する先駆的貢献

 

独立行政法人情報通信研究機構理事長
1936生まれ
授賞理由

 長尾博士は、世界に先駆けて機械翻訳の研究を推進し、科学技術論文の抄録の日英、英日翻訳システムを完成・実用化させた。これは、現在でも実用に供されると共に、今日の多くの企業における商用の機械翻訳システムの基礎となっている。さらに、機械翻訳に用例を用いる新しい翻訳方式を提案し、その後多くの国 の機械翻訳研究に大きな影響を与えた。

 同博士はまた、自然言語処理の要である日本語の形態素解析法、重要語抽出法、電子辞書などの研究の他、複雑な長い日本語文の解析に適した方法の提案や文脈解析に多くの成果を挙げた。これらの業績は、誰もが利用できる手法として、世界中の日本語処理研究者に利用され、研究コミュニティに大きく貢献するとと もに、日本語処理研究の裾野を広げた。

 画像処理の研究では、他に先立ってフィードバック解析機構を導入して顔写真の解析・認識を行い、その後の多くの研究に影響を与えた。また、リモートセンシング画像などの解析に黒板モデルを導入し、複雑で解析手順の明確でない画像の解析を行うことができることを示し、人工知能的手法による画像処理に多くの 研究業績を挙げた。

 1990年以降、自然言語処理技術、画像処理技術を総合的に利用して、電子図書館(デジタルライブラリ)のシステム構成、ユーザー・インターフェース、ネットワーク構成など、電子図書館の理想の姿を提案し、そのプロトタイプシステム「Ariadne(アリアドネ)」を開発し、実際に世に公開した。早くから、言語情報だけでなく、画像情報、音声情報も取り入れたデジタルライブラリの重要性を力説し、図書館の情報化の推進に貢献した。
自然言語処理、機械翻訳、知的な画像処理は、情報化社会において極めて重要な役割を果たす中核技術である。長尾博士は先駆者としてこれらの研究分野を開拓し、加えて機械翻訳国際連盟、言語処理学会などの創設を通して国内外の研究を先導した。情報通信ネットワークが進展しグローバル化した今日の社会において、同博士の貢献は国際理解や地球規模での情報共有の点で極めて大きく、2005年日本国際賞本賞を授賞するに相応しいと考える。

Japan Prize歴代受賞者による社会貢献

受賞者

Japan Prize 30年の歩み

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