ストックホルム国際青年科学セミナー

2017年派遣学生

戸田 賀奈子
北海道大学大学院工学院環境システム工学専攻
 

SIYSS2017概要:
 SIYSS2017では、各国から収集された18-24歳の若手研究者は20カ国から25人であった(Fig.1)。例年通り、若手研究者の2/3程は18や19歳。宿泊場所も例年通りAF Chapmanという船を改築したホステルであった。予定はFig.2参照。今年度は、人数制限の関係で9日土曜日の夕方に企画されていたノーベル賞授賞式のレセプションに参加することができなかった。

Fig. 1 参加者の集合写真

Fig. 2 SIYSS 2017 予定表

本セミナーを通して感じたこと:
本セミナーへ参加しようと考えた理由は、
① スウェーデンの学生に研究紹介をすることで、知識の異なる相手に伝えたい内容を理解してもらうトレーニングをしたい
② SIYSSの1週間の間で出会う研究者や学生との交流から、博士に進学する身として研究に対する姿勢や思考の巡らせ方を多彩にしたい
③ 世界中で認められている若手研究者との繋がりを作り、今後遠くにいようとも共に切磋琢磨できる関係を築きたい
と大きく3つに分けられた。6日間という短い間だが、多様なイベントや活動で毎日めまぐるしく吸収することが増幅していくような感覚の中、日々が過ぎていったように感じる。この3つのテーマに沿うように、SIYSSで感じたことを記していきたい。

①高校生へのセミナー発表
12/6に開催された、現地の理系の学問に興味がある高校生約1500人が来場するストックホルム国際青年科学セミナーは、口頭発表とポスター発表を平行して行う形でとりおこなわれた。25人の発表者は5グループに分割され、口頭発表をするシフトになったらポスターを離れシアターのような会場の裏で発表の順番を待機するという形で進行していった。9:00~15:00まで続くセミナーは1500人の高校生が同時におしよせるわけではなく、時間帯により異なる高校生が来場するために、頻繁に様々な高校の学生が訪れた。
ポスター前での発表では、高校生の知識や興味のレベルはそれぞれであったために、少人数で話を聞きにきてくれた人達には会話をするように話を進めていき、内容を理解しているか確認しながら話を進行していった。工学と応用地球科学や応用鉱物学を融合させている私の研究内容は、学問の内容自体が新鮮だったようで、多くの学生は地球科学や鉱物学をよく知らないと言い、こんな研究もあるんだねと興味を持って話を聞いてくれた。地球温暖化や資源の枯渇問題など、みんなが知っているようなワードも話に盛り込み説明したら研究の意義を理解してくれたようだった。しかし、グループの人数が10人以上になると、何人かは途中で発表を理解することを諦める人がいた。わかりやすい説明だけでなく、人を惹きつける喋り方や立ち振る舞いが大切だと気付かされた。他参加者のポスターや発表からも学ぶことがあり、ポスターのフォーマットが扱いにくいということで完全なオリジナルのフォーマットのポスターで参加している学生や、化石の研究をしている学生は化石の無料配布なども行なっており、高校生にわかりやすく興味を引くことが大前提だからと言って自由に発表していた。今後はフォーマットを守らないというわけではないが、伝えやすい発表をするには、他の人がやっていない工夫も思いついたら躊躇せず取り組んでいこうと思う。
口頭発表は高校生3人から質問を受けることができ、発表内容を理解してもらえ、さらに質問を投げかけることができるよい雰囲気であった。特に緊張するということは無く、チームとして、そして個人としてもこのセミナーを成功させたいという気持ちが大きかったように思う。

Fig. 3 ステージから見た観客席

②研究者との交流
 繰り返しになるが、今回は残念ながら受賞者と交流できるノーベルプライズのレセプションに参加することができず、ノーベル受賞者との直接的な会話はできなかった。しかしながら、ノーベル受賞者の記念講演や晩餐会でのスピーチ、特に物理学賞受賞者らに関して、研究の進歩にはチームを成し、グループ全体の意思が問題解決へ向いていること、また、研究を進める上で必要になった資源はすぐに取り入れること、及び最後まで諦めない根気が研究の成功に繋がるという点がひしひしと伝わってきた。文学賞や化学賞受賞者にも共通する点としては、ノーベル賞を受賞した研究内容の先を常に見据えているということだ。受賞者全員が、常に好奇心に溢れ、思考を巡らせる喜びに満ちていた。今後博士後期課程において、この交流から学んだことを研究生活に反映させ、有機的に研究を前進させていきたいという気持ちがさらに強くなった。

③若手研究者との交流
続いて、若手研究者らとは、今後も科学技術に興味のある同志として交流が続いていくような関係を築けたと確信している。志望理由書にも述べた通り、工学だけでなく、他分野の研究を行なっている学生の研究内容を知れたことより、今後研究に取り組む上で、引き出しを大いに増やせたと感じている。実験器具を自分で1から作成し研究した学生や、病気の早期発見、薬への耐性が強い細菌への対応法を編み出している学生、家電の消費電気量をトラックする機材とスマートフォンアプリを作成した学生等、専門は多岐にわたり、普段知ることのない世界ばかりと触れられたと感じている。また、遠く離れた国に住んでいようとも、LinkedInやFacebook等のSNSで繋がっており、連絡手段があることから、常にお互いを刺激しあえる状態にあるため、共に切磋琢磨できる仲間が増えたと感じている。若手の研究者である時期から、このような仲間に出会えることは貴重であると考えるために、今後もこのつながりを大切にしていきたい。

他にも、SIYSSにおいて毎年開催される倫理セミナーや、スウェーデンの文化に触れるイベント、異文化交流イベント、ノーベル賞授賞式参列に向けたエチケットのレクチャー等、このセミナーならではの活動を多いに楽しめた。
このセミナーに参加するためにサポートしていただいた国際科学技術財団の皆様、北海道大学の関係者の皆様に心より感謝しています。

追記:
来年度参加者へのアドバイスと全体を通した感想
 国際技術科学財団による派遣学生選考に残ることができ、SIYSS2017に参加した。この時点で、私の研究内容や参加への姿勢は渡航し日本代表として発表する上で充分魅力的だと証明されたようなものである。しかしながら、渡航前の事前説明で、同席する若手研究者はみんな聡明でものすごい研究をしていると聞き、渡航後の最初数日は私以外が全員ものすごく頭がよく才能に溢れた人たちなんだ…と少し怖気付いてしまっていた。なにせ、私は大学院まで進学し、研究の内容を自分で考え始めたのは最近だったのだから。私が最近できるようになったことを、周りの人たちは6年も若いのに自信を持って自分の研究を発表していることを目の前にして、少し自信をなくしていた。英語も母国語じゃないのに母国語並に話せるし。ここまでが前置きで、ここから言うことを大事に聞いてほしい。まず、私みたいに自信をなくすことは全くないということ。もちろん参加者全員が輝いてみえる。実際に輝いている。だけど、自分も今まで行ってきた研究に自信をもってこのセミナーに参加して、前向きに、皆に研究内容をわかってもらいたいという気持ちが伝われば、何も怖いことはない。書面でみる各参加者の研究内容は、知らない分野の話だけに偉業に見える。でも、ちゃんと話を聞いて、実験内容や研究目的の分からなかったところをしっかり聞けば、長年理系をしてきた私たちはだいたい理解ができる内容だと気づくはず。それは自分の自信にもつながる。そして、意外と共通点も見えてきて、議論することが楽しくなってくるはず。SIYSSを最大限楽しむための最善の準備は、SIYSSのfacebookページのアップロードを完全にフォローして誰が何をしているかのイメージを大体つかむこと。でも、出発前は大学での他のことに割かなければいけない時間も多いと思う。なので、もしSIYSSのアップデートについていけなかった場合のオススメは、現地でセミナーが終わった後、翌日程にSIYSSのページにアップされるみんなの発表を、できるだけ早く視聴して、みんなが何をしているかをつかむこと。このときだったら、顔と名前が一致しているから、誰が何をやっているのかが完全に把握できるようになっている。出発前に得られるポスターやアブストや動画じゃ、分からないこともある。動画視聴後、バスの移動が多いので、いろんな人の隣に座って議論するとさらに話が弾むと思う。私は帰国後に動画を観て、これをしていればもっと多くの人たちと議論できたなひしひしと感じているので、今後はぜひ皆さんにやってもらいたい。(25人もいるので、みんなと研究の話をするのはよほど意識しないと難しい。) もちろん、セミナー前にどんな研究してるの?と話しかけるのも全然OK。最後に、とにかく楽しんだもの勝ちであるということは絶対に変わらないので、時差ぼけや旅疲れで予想以上に疲れていると思うが全力で色々に取り組むと最後の授賞式等が感無量になる。あと、みんな割とシャイ。声をかけたらみんな喜んでくれる。皆にも、自分も同じように輝いて見えているということを忘れないで。今年度も、たくさん楽しんで、たくさん頑張ってください!


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