ストックホルム国際青年科学セミナー

国際科学技術財団ではノーベル財団の協力で、スウェーデン青年科学者連盟が毎年ノーベル賞週間に合わせてストックホルムで開催する「ストックホルム国際青年科学セミナー(SIYSS; Stockholm International Youth Science Seminar)」に毎年2 名の学生(大学生・大学院生)を派遣しています。SIYSS には世界各国から派遣された若手科学者が集い、ノーベル賞授賞式など諸行事に参加したり、自身の研究発表を行います。SIYSS への派遣は、若手科学者に比類ない国際交流の機会を提供するだけでなく、科学に対するモラルの向上や熱意の高揚にも役立っています。1987 年以降、これまでに64名の学生を派遣しています。

2019年参加学生のレポート

2019年12月は広島大学の石川さんと東京大学の森谷さんが参加しました。
以下はお二人のレポートです。 

2019年度のストックホルム国際青年科学セミナー(通称: SIYSS)は、12月4日から11日にかけて行われた。参加者は19カ国から集まった25名で、日本からは、神経工学を専攻する森谷文香(東京大学修士2年)と交通工学を専攻する石川太陽(広島大学修士2年)の2名が派遣された。25人は、それぞれの国で、工学や生物学、地学、数学、物理学など多岐に渡る分野のいずれかについて理系の研究を行なっており、18歳の大学1年生から博士課程に在籍する者まで、さまざまな背景を持った若手研究者が一堂に会する貴重な機会となった。

約1週間のストックホルム滞在期間の中で、高校生に向けた研究発表、倫理セミナー、ノーベル賞授賞式祝宴など多くの行事に参加した。実際のスケジュールを以下に示す。

上記のスケジュールが示すように、SIYSS中には大きく分けて参加学生主体のセミナー関連行事、ノーベルウィーク関連行事、そして参加学生同士の交流行事等が行われた。
参加学生主体のセミナー関連行事としては、倫理セミナーや現地の高校生に向けた研究発表が挙げられる。倫理セミナーは科学技術の使用に関する倫理的問題について討論を行うもので、今年は遺伝子工学に関連する討論が行われた。相手の意見を踏まえ、即座に自分の意見をまとめ発言する参加者の積極性には大いに刺激を受けた。また、科学技術の社会への実装について幅広い視点で考え、議論することは今後の研究生活で必要となる能力であることを改めて実感した。高校生に向けた研究発表では、25人がステージ上でプレゼンテーションを順番に行う傍、それ以外の時間は自分のポスターの前に立ち、訪れた現地スウェーデンの高校生たちと交流しながら研究内容を発表した。高校生の純粋な科学に対する興味や、真っ直ぐな質問に向き合うことで、自身の研究の意義や面白さに改めて気づくことができた。また、専門分野の異なる人に対して、自分自身の研究を伝えることの重要性や難しさを実感するきっかけにもなった。
ノーベルウィーク関連行事としては、ノーベル賞受賞者からのレクチャー、ノーベルレセプション、授賞式への参加等が挙げられる。レクチャーでは、研究内容や受賞までのプロセス、さらに研究の将来の発展性に至るまで、各受賞者の情熱のこもったスピーチを聞き、自分たち若手科学者にとって非常に意義のある時間となった。ノーベルレセプションは、実際に受賞者の方々と直接交流できる印象的なイベントであり、用意していた多くの質問を受賞者に伺うことができ、その一つ一つに対し的確なお答えを頂いた。特に吉野先生には非常に長い時間を割いていただき、今後の研究へのアドバイスや人生において意識していることなど数多くの助言をいただいた。授賞式や晩餐会では、予想以上の華やかさに圧倒されながらも、世界から注目されるノーベル賞受賞という栄誉の場に立ち会える感動を噛み締めた。受賞者がスウェーデン国王からメダルを授与され、オーケストラの演奏が会場全体に響いた際の感動や、晩餐会での夢のような時間で感じた気持ちの高まりは、今後の研究の大きなモチベーションになるだろう。

また参加学生同士の交流行事として、クリスマスやルシア祭、ミッドサマーといったスウェーデン独特の行事や食事を楽しめるような企画も多く用意されていた。短い時間であったが、旧市街やノーベルミュージアムなどの見学に加え、Xylemというグローバル企業の見学もさせて頂いた。また、インターナショナルディナーや移動中での会話などを通し、異文化交流も盛んに行われ、各国の参加者とも非常に親密になった。
SIYSSは、一生の糧となるような数多くの貴重な経験が密に詰まった1週間であった。また、今回の経験を通して得た世界中の優秀な若手科学者との繋がりは、今後の人生において何ものにも代え難い財産となるだろう。ここで得た学びを深く心に刻み、今後より一層研究に励みたい。

最後になりましたが、SIYSSに選抜・派遣して頂いた国際科学技術財団の皆様、そしてSIYSS 2019の運営メンバー、SIYSS 2019のメンバー、SIYSS過去の派遣者の方々に感謝の意を表します。

 

 

ストックホルム
国際青年科学セミナー

Japan Prize 30年の歩み

page top