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2015年(第31回)Japan Prize受賞者決まる
包括的流域管理を提唱し、水災害軽減に貢献した高橋裕博士と
遺伝子治療の概念を世界で最初に提唱、実証したフリードマン、フィッシャー両博士に

 

公益財団法人国際科学技術財団(理事長 矢﨑義雄)は本日、2015年(第31回)Japan Prize(日本国際賞)の受賞者3名を発表しました。「資源、エネルギー、社会基盤」分野は「流域管理の革新的概念の創出と水災害軽減への貢献」に対して高橋裕(ゆたか)博士(日本)が、「医学、薬学」分野は「遺伝子治療の概念の提唱とその臨床応用」を行ったセオドア・フリードマン博士(米国)とアラン・フィッシャー博士(フランス)が選ばれました。受賞者3氏は都内で行われた記者発表会に出席して喜びを語りました。3氏には4月に予定されている授賞式典で賞状と賞牌が贈られます。

東京大学名誉教授高橋裕博士は水害と社会との関係にいち早く着目し、現地調査と綿密なデータ解析を基に、構造物を中心とした治水政策から転換し、河川とその流域の自然と人間の共生を考慮した治水政策を進めることを1970年代に提唱。治水・利水と河川環境を統合した新しい河川工学の分野を切り拓きました。同博士の概念は1997年の河川法改正の礎となり、世界で最も進んだ河川法の一つとして結実しました。海外では、日本と自然や社会が似通っているアジアモンスーン地帯の国々で地域協力や人材育成に尽力。博士の思想が具体的対策に取り入れられ、水災害の軽減や河川環境の改善に大きく貢献しました。

現在、カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部小児科教授を務めるフリードマン博士は、1970年代に遺伝子治療の概念を提唱し、初期の遺伝子治療基盤研究を牽引しました。この領域の倫理問題に関しても、オピニオンリーダーとして40年にわたって第一線で活躍し、「遺伝子治療の父」と呼ばれています。一方、フィッシャー博士は致死的なX連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)患児に造血幹細胞遺伝子治療を実施し、遺伝子治療が臨床的に劇的効果を発揮することを世界で初めて実証。夢の治療法といわれた遺伝子治療を現実のものとしました。フィッシャー博士は遺伝子疾病の研究機関であるイマジン研究所(パリ)の所長を務めています。

高橋、フリードマン、フィッシャー博士は各々の分野で研究成果をあげて科学技術の進歩に大きく貢献すると同時に、人類の平和と繁栄にも著しく貢献しました。2015年日本国際賞授賞式は4月23日(木)に東京で開催され、各氏に賞状、賞牌と各分野に対し賞金5,000万円が贈られます。

2016年(第32回)Japan Prizeの授賞対象分野は「物質、材料、生産」と「生物生産、生命環境」の2分野で、現在、財団が選んだ世界各国の学者、研究者などの有識者に受賞候補者の推薦を依頼しています。

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