2018年

「資源・エネルギー、環境、社会基盤」分野から10件、「医学、薬学」分野から10件、計20件の募集を行い、選考委員会による厳正なる選考の結果、次の若手研究者20名の研究テーマが採択されました。

研究助成一覧

「資源・エネルギー、環境、社会基盤」分野(10名)

ペーパーエレクトロニクスを志向した局所排熱部材の開発

大阪大学 産業科学研究所 助教
上谷 幸治郎

助成額 100万円

断熱素材と考えられていた天然セルロースをナノファイバー化すると、高い熱伝導性と異方性を発揮することを見出している。本研究では、ナノファイバー固有の伝熱特性を発揮させるため、秩序構造を構築する技術開発を行う。次世代ペーパーエレクトロニクスの小型化と省エネ化に向けて、局所的な排熱を効率化する熱流路ナノペーパーの開発につなげる。

高速ミクロプローブを用いた環境発電デバイスの研究

東北大学 電気通信研究所 准教授
大塚 朋廣

助成額 100万円

 

人間活動とエネルギー・環境保全との調和を進める上で、熱運動や電気ノイズ等の環境中の励起や擾乱からエネルギー保存則を守りつつ、電流等を取り出して微小エネルギーを有効活用する環境発電技術が重要となる。固体微細デバイスでは電子運動の高度制御が可能であり、新しい環境発電デバイスの創製、原理検証に適した系である。そこで固体微細デバイスの高度制御、観測技術を活用し、環境発電技術の基礎学理、技術の構築を行う。

有機フッ素化合物を用いた環境調和型ビニルモノマーの触媒的合成技術

東京理科大学 理工学部 助教
荻原 陽平

助成額 100万円

フッ素循環社会の構築を目指し、“カルボフッ素化”という新しい方法論によって、フッ素化合物を分解し、異なるフッ素化合物(ビニルモノマー)へと作り替える再生触媒技術を開発する。すなわち炭素-フッ素結合のアルキン(三重結合)への付加によって、炭素-炭素と炭素-フッ素結合を一挙に構築できる触媒系を明らかにする。本技術は原子効率100%で含フッ素共役分子を構築できる新概念である。

新しいワイドバンドギャップ半導体の探索と超低損失デバイスの開発

京都大学 大学院工学研究科 助教
金子 健太郎

助成額 100万円

酸化ガリウム(α-Ga2O3)はSiCの約7分の1のオン抵抗値を示した事から、現在世界中で次世代パワーデバイスの最有力候補とみなされている。また、α-Ga2O3混晶は、3.7-9.0 eVの範囲でバンドギャップ変調が可能であり、これまでの半導体混晶では不可能であったバンドギャップ (Eg) 領域での変調を実現した。これは将来の超高耐圧デバイス、超短波固体発光素子作製が可能である事を示している。

p/n型半導体混合膜中で界面双極子を誘起するπ共役系界面活性分子の創製

東北大学 大学院理学研究科 化学専攻 助教
川畑 公輔

助成額 100万円

近年、有機光電変換素子において、p/n型半導体間の接合界面に界面分極を導入することが効率的な電荷生成に重要であると報告されている。本研究では、大きな双極子モーメントを持つπ共役系界面活性分子を設計し、疎水/親水性のp/n型半導体からなるバルクヘテロ構造の界面に偏析させることにより界面双極子を形成することで、電荷分離の促進および再結合の抑制を通し、光電変換デバイスのエネルギー変換効率向上を目指す。

持続可能資源を基盤とした新規高効率エネルギー変換機構の制御原理開発

国立研究開発法人物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点 主任研究員
坂牛  健

助成額 100万円

本研究は、燃料電池や蓄電池など電気化学反応を利用したエネルギー変換技術を高効率化させるための機構の制御原理開発を目標としている。現在、 エネルギー技術の更なる高効率化が求められている。本研究では、窒素と炭素原子からなる持続可能資源を用いて、エネルギー技術を高効率化するための新手法の制御原理開発を行うことで、基礎研究から燃料電池や蓄電池といった具体的なデバイスを高効率化させる技術への展開を目指す。

低温排熱利用を志向した二次電池構造型熱発電素子の機能性評価とその高性能化

群馬工業高等専門学校 一般教科(自然科学) 助教
柴田 恭幸

助成額 100万円

二次電池と熱電変換を融合した二次電池構造型熱発電素子を作製し、その機能性評価を行う。この素子は、電極間温度差による発電ではなく、熱起電力の異なる二次電池材料を正極・負極とし、素子全体を加熱・冷却することで生じる電極間起電力差を利用して発電する素子である。本研究では、最近高い熱起電力を持つことがわかってきたプルシャンブルー類似体を用いた素子を作製し、その素子特性を明らかにすることを目指す。

Moringa Oleiferaを用いた鉛汚染土壌の環境修復法および鉛中毒治療法の確立

北海道大学 大学院獣医学研究院 環境獣医科学分野毒性学教室 学術研究員  
中田 北斗

助成額 100万円

資源開発に伴う鉛汚染は途上国を中心に世界中で起きているが、現在の環境修復法や鉛中毒治療法は高コストで、途上国での利用には課題が残る。本研究では多くの途上国に自生し、栽培も容易なMoringa Oleiferaの汚染水中での鉛吸着能に着目し、土壌の環境修復剤および生体の治療薬としての応用を目指す。先進国の援助に頼らず途上国政府が自ら継続可能な汚染対策手法の確立は、持続可能な社会の構築に大きく貢献する。

汎用性の高い近赤外光利活用色素の開発

金沢大学 理工研究域 物質化学系 准教授
古山 渓行

助成額 100万円

近赤外光は可視光等と比較してエネルギーが低く、生体透過性が高いことが知られている。この性質を活用し、太陽光エネルギーの活用や光医療技術に期待が寄せられる。一方、「近赤外光を利活用できる有機分子」は未だ合成手法が限られており、多彩な用途への展開は困難であった。本研究ではフタロシアニンを基に、新規カップリング反応の開発を通して、広汎な用途へ適用可能な近赤外利活用分子の開発を目指す。
地震被害の全球モニタリングに向けた、深層学習を用いた広域SAR衛星画像からの構造物位置の自動検出

山梨大学 大学院総合研究部 工学域 助教
宮本  崇

助成額 100万円

昼夜や天候を問わず地表を撮影可能なSAR衛星からの撮影画像の分析は、地震災害直後の状況把握手段として有力視されている。私が現在国内向けに開発を進めている、構造物単位の撮影画像から自動的に地震被害判定を行う技術の国際展開に先立ち、本研究では広域のSAR衛星画像から住宅1棟単位の位置情報を検出する手法を開発する。近年に提案された深層学習ベースの領域検出手法を用いて、最高水準の検出精度の実現を目指す。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

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「医学、薬学」分野(10名)

異分野融合アプローチによる定量的PK/PD/VD理論の構築:C型肝炎治療の最適化

九州大学 大学院理学研究院 准教授
岩見 真吾

助成額 100万円

現在、ウイルス感染症やがんなどの治療において、複数の薬剤を組み合わせる「多剤併用治療」が積極的に行われている。これは、治療効果の増幅に加えて、薬剤耐性の出現リスクや副作用、治療費の軽減を目的としている。しかし、これまでの薬剤組み合わせは、実験や治験の成果などを基に、経験的に行われてきた。本研究では、数理モデルを援用する事で、多剤併用治療の最適化を実現する理論を構築し、新しい薬学分野を開拓して行く。

治療抵抗性獲得機序の解明に資する全身がん病態可視化技術の開発

東京大学 大学院医学系研究科 特別研究員
久保田 晋平

助成額 100万円

本研究においてはがん根治を最終目標として治療抵抗性獲得機序の解明に取り組む。この目標を達成するためには、体内に少数しか存在せず今まで全容を把握することが困難であったがん幹細胞、抗がん剤抵抗性がん細胞、またそれらの腫瘍組織に特徴的な微小環境を正確に捉える必要がある。治療抵抗性獲得機序を解明し、がんの根治を達成するために、組織透明化手法を用いた全身がん病態可視化技術を開発する。

リアルタイムイメージング技術の融合による頭痛病態の発症機序解明

熊本大学 大学院生命科学研究部 助教
倉内 祐樹

助成額 100万円

「頭痛」はごくありふれた疾患である。現在では有効な予防薬・治療薬が存在するために軽視されがちな疾患だが、我々は“なぜ頭が痛くなるのか?”という根本的な問題を解決できていない。本研究では、新規イメージングデバイスによる脳血流、神経活動、脳温変化のリアルタイムイメージングと痛み関連行動の同時解析により頭痛発症機序を解明し、医学・薬学的観点から頭痛による社会的損失の軽減を目指す。

ゲノム編集スクリーニングを用いた哺乳類オートファジー制御因子の解明

大阪大学 大学院医学系研究科 助教
細田 將太郎

助成額 100万円

遺伝学の発展により、オートファジーの生理学的意義に対する理解は飛躍的に深まっている。
一方でオートファジーの分子メカニズムについては未だに不明な点が多い。本研究では、CRISPR/Cas9ゲノム編集法を用いて網羅的ノックアウトスクリーニングを行い、新規オートファジー制御因子の同定を試みる。

バクテリオファージによる細菌増殖阻害機構を模倣した抗菌ペプチドの開発

国立研究開発法人理化学研究所 生命機能科学研究センター ユニットリーダー
田上 俊輔

助成額 100万円

近年、抗生物質に対する耐性菌の出現が大きな問題になっているが、それに対抗するための新規抗生物質の開発ペースは低下してきている。そこで、本研究では細菌の転写機構を標的とし、新たなメカニズムではたらく抗菌ペプチドの開発を目指す。このために、バクテリオファージ由来の細菌RNAポリメラーゼ活性阻害タンパク質を模倣したペプチドライブラリーを作成し、新たな抗菌ペプチドを取得する。

分子認識を利用した簡便・安価・安全に使用できるバイオインク作製法の開発と再生医療への応用

大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教
中畑 雅樹

助成額 100万円

細胞を含む高分子溶液から三次元組織を形成するバイオプリンティングでは、万人が容易に使用可能なインクを幅広い高分子から作製することが課題である。本研究では、分子間相互作用により瞬時にゲル化可能なモチーフを幅広い高分子に簡便に修飾することで問題の解決を図り、インクのバラエティを拡張するだけでなく、必要なタイミングでゲルを全て分解できるという極めて有用な特性を活かして、機能性三次元組織構築へ応用する。
統合失調症関連遺伝子Tspan18の欠損が引き起こす血管形成異常の行動への影響

慶應義塾大学 医学部 講師
長柄(田井) 育江

助成額 100万円

脳の血管異常と統合失調症の関連をメカニズム面から検証する目的で、統合失調症関連遺伝子Tspan18の血管内皮細胞における欠損が引き起こす血管形成異常が、行動に及ぼす影響を解析する。Tspan18欠損マウスについて、行動解析と脳の血管構造の可視化を行って両者の関係を考察するとともに、Tspan18が正常な血管形成を可能にする細胞内メカニズムを明らかにする。
ミトコンドリア恒常性破綻による神経細胞死誘導機構の解明

高知大学 教育研究部 准教授
難波 卓司

助成額 100万円

ミトコンドリアの恒常性維持とその破綻を制御する機構を解明することは、様々な疾患の新たな治療ターゲットの発見に向け重要である。本研究では、小胞体とミトコンドリアを橋渡しするタンパク質複合体を発見し、その機能障害により神経細胞死が誘導されるかどうかを実験的に検証することで、小胞体とミトコンドリアのクロストークを介したミトコンドリア機能の恒常性維持機構を解明する。

遺伝的脆弱性への食環境負荷が引き起こす、統合失調症発症の分子メカニズムの解明

公益財団法人東京都医学総合研究所
脳発達・神経再生研究分野 神経細胞分化プロジェクト 研究員
平井 志伸

助成額 100万円

これまでに私は、統合失調症患者の22%に活性低下が認められるGlyoxalase1(Glo1)という酵素に着目してきた。そして、通常飼育下では異常を示さないGlo1ヘテロマウスに、”砂糖過多食”を給餌することで、統合失調症様症状が誘発されることを発見した。本研究では、私が独自に見出した、上記の系を用いて、遺伝的脆弱性への食環境負荷に起因した統合失調症発症の分子メカニズムの解明を試みる。

概日リズム障害の治療応用に向けた睡眠リズム制御機構の解析

筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 助教
平野 有沙

助成額 100万円

視床下部の視交叉上核は概日時計システムの中枢として、正常な生命機能の維持に寄与する。視交叉上核の時計細胞は1日周期で転写のON/OFFを繰り返す分子振動体を内在しているが、この時刻情報から行動や代謝などの生理機能のリズムへ変換する出力機構の理解が極めて重要である。本研究では生理リズムの基盤である睡眠リズムに焦点を絞り、時計中枢が睡眠・覚醒中枢に時刻を伝える神経回路と分子機構の解明を目指す。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

 

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