2016年

「物質、材料、生産」分野から10件、「生物生産、生命環境」分野から10件、「クリーン&サステイナブルエネルギー」分野から3件、計23件の募集を行い、選考委員会による厳正なる選考の結果、次の若手研究者23名の研究テーマが採択されました。

研究助成一覧

「物質、材料、生産」分野(10名)

触媒的な直截官能基化反応を利用した生物活性物質の環境調和型合成法の開発

iwasaki岡山大学 大学院自然科学研究科 助教
岩﨑 真之

助成額 100万円

硫黄やセレンなどのカルコゲン原子を含んだ複素環は、サッカリンやエブセレンをはじめ、さまざまな生体機能を担う化合物群であり、医学・薬学・生物学など様々な分野で注目を集めている。しかしながら、その有用性にも関わらず、含カルコゲン複素環の効率的な合成法は未だに確立されていない。本研究では、触媒的な直截官能基化反応を駆使することで、入手容易な出発物質から簡便に含カルコゲン複素環を合成する手法を開発する。

イソシアニドの特異的な反応性に着目したアミノ酸類の定序性ペプチド様ポリマーへの化学変換

kakuchi金沢大学 理工研究域 自然システム学系 特任助教
覚知 亮平

助成額 100万円

生命活動の維持に不可欠なペプチドは、モノマー配列が厳密に制御されたポリマーである。アミノ酸の重合は長年にわたり行われているが、モノマー配列を制御しながらアミノ酸を高分子へと再構築することは多大な困難を伴うのが現状である。そこで、イソシアニドの特異的な反応性を活用することで、有機反応の挿入順序が規定されうるという特徴に着目した。以上を活用し、アミノ酸類から定序性ペプチド様ポリマーへの化学変換を目指す。

安定金属ナノクラスターの高機能化に基づく安定かつ高機能なナノ物質の創製

kurashige東京理科大学 理学部 助教
藏重 亘

助成額 100万円

本研究では、チオラート保護金クラスター(Aun(SR)m)を基盤物質に用いて新規機能性ナノ物質を創製する。具体的には、特異的に安定な魔法数Aun(SR)mクラスターに対して、磁気特性、光スイッチング機能、高電気伝導性、及び生体物質結合性を付与し、単一分子で、磁性材料、光メモリ、電子デバイス、生体診断粒子となりうる、安定かつ高機能なナノ物質を創製する。

環境・エネルギー材料に向けたヘテロ構造を有する遷移金属系ナノ空間材料の 汎用的合成法

kuroda早稲田大学 高等研究所 助教
黒田 義之

助成額 100万円

触媒、二次電池等への応用可能性から、複数の遷移金属酸化物、金属を組み合わせたヘテロ構造物質が注目を集めている。本研究では、三座配位子と遷移金属酸化物の特異結合を利用し、表面官能基の制御された低次元ビルディングブロックの汎用的合成法及びビルディングブロックのヘテロ集積によるヘテロ構造物質の構築を検討する。これにより、高活性・高選択性を示す遷移金属触媒や光触媒、二次電池材料等の材料設計を行う。

応力の可視化を目指した力学応答性分子プローブの開発

goseki東京工業大学物質理工学院 助教
後関 頼太

助成額 100万円

本研究では、力学的刺激に応答して発生するラジカル分子の発光現象を明らかにすることを目的とする。具体的には、力学的な刺激により特定の共有結合を開裂させ、高い安定性を示すラジカル種を生成する分子を設計し、分子骨格と発光現象の相関関係を調査することで力学的刺激に対する動作原理の解明ならびにテーラーメードなクロミズム特性を有する新たな力学的刺激応答性材料の開発を最終的な目標とする。

外部刺激応答性光機能を兼ね備えた「熱活性化遅延蛍光(TADF)材料」の開発

takeda大阪大学 大学院工学研究科 准教授
武田 洋平

助成額 100万円

最近、スマートフォンやテレビなど私達の生活にとって欠かせないディスプレイ機器における発光材料や、細胞内の状況を調べるための生体プローブ材料として“熱活性化遅延蛍光(Thermally-Activated Delayed Fluorescence: TADF)”を示す化合物が注目されている。本研究では、申請者が開発した芳香族ジアミンの新奇酸化的転位反応を基盤分子変換技術として、効率的なTADF機能に加え、摩擦・外部圧力、熱や温度に応じて発光特性が変わる機能も兼ね備えた次世代TADF材料を創製する。また、発光色変化の原理解明や分子設計指針を確立する。さらに、これら材料がさらされている状態が発光色の違いにより一目で見てわかる履歴センサー、記憶メモリー、酸素検知プローブへの応用も目指す。

高い熱的安定性と大きな形状回復能力を両立する新規チタン系形状記憶合金の開発

tahara東京工業大学 科学技術創成研究院 助教
田原 正樹

助成額 100万円

本研究では室温以上の温度でも長期間保管可能であり、同時に大きな形状回復歪みを有する新規チタン系形状記憶合金の設計指針を提案する。チタン系形状記憶合金において長期間の安定性を得るためには、ω相と呼ばれる析出物を完全に抑制する必要がある。本研究ではω相の抑制に有効な元素を積極的に利用し、同時に形状回復歪みの増大を図ることで、実用化を視野に入れた新しい合金設計指針を確立することが目的である。

溶融塩浴流動粒子カソードプロセスによるCO2からの機能性炭素材料の生成と形態制御

natsui北海道大学 大学院工学研究院 助教 
夏井 俊悟

助成額 100万円

金属あるいは酸化物粒子をエマルジョン化し、直接カソードとして利用する溶融塩共還元プロセスを
用いた直接還元システムを創出する。電解析出した液体活性金属とCO2気泡流による粒子流動化によって、
固気液三相界面反応を高速化する。機能性炭素材料の連続生成プロセスに よるCO2の有効利用を提案し、
近年の地球温暖化の要因であるCO2削減に大きく寄与する。

分子配向とからみ合いを利用した透明プラスチック材料の高強度化

nobukawa名古屋工業大学 大学院工学研究科 助教
信川 省吾

助成額 100万円

一般的に、非晶性高分子フィルムを延伸すると、力学強度に異方性が生じ、特に延伸軸と垂直方向の強度が低下する。本研究では、高分子の側鎖に 長いグラフト鎖を導入し、そのからみ合いを利用することで、高分子延伸フィルムの力学特性を向上させることを目的とする。具体的には、ポリメ タクリル酸メチルなどの非晶性高分子に、主鎖と直交したグラフト鎖(側鎖)を導入することで、その延伸フィルムの力学強度の低下を補填する。 また、分光学的手法、複屈折、引張試験などを用いて、主鎖および側鎖の配向やからみ合い状態を調べ、力学強度(弾性率、靱性等)との関係を明 らかにする。グラフト率や分子量の影響を定量的に調べることで、延伸しても力学異方性が小さく高強度な非晶性高分子材料を設計する。 

パーフルオロアルキル基 / ペンタフルオロスルファニル基導入反応の開発と機能創製

hirano東京大学 大学院薬学系研究科 助教
平野 圭一

助成額 100万円

パーフルオロアルキル基やペンタフルオロスルファニル基は、有機分子に「高い電子親和性」「剛直性」「分子配列による層形成」など興味深い性質をもたらしますが、これらの導入法は未だ黎明期にあります。本研究では、高い官能基許容性を特徴とする新たな精密高フッ化官能基導入法を確立し、これらを有する含フッ素機能性分子の創製と機能創発に挑みます。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

▲このページのトップへ

「生物生産、生命環境」分野(10名)

複雑相互作用を考慮した多ホスト-多パラサイト系の共進化動態による生物多様性・ 遺伝的多様性維持機構の解明

ito長崎大学 熱帯医学研究所 講師
伊東 啓

助成額 100万円

進化競争と多様性には密接な関係があり、ホスト-パラサイト系の理論研究も進んでいる。これまでパラサイトの毒性に着目した数理モデルを用いた検証が行われてきたが、単独もしくは少数種間に限定されたものだった。しかし、現実では遺伝的に異なる多者間で複雑な相互作用が働くため、現実の遺伝的多様性を理解するにはモデルを多者系に拡張する必要がある。本研究では、多ホスト-多パラサイト系の離散型数理モデルを提案する。

生物多様性を利用した農作物生産 〜IBM農業に基づいた自然栽培の実践研究〜

uehara

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門
任期付研究員
上原 拓也

助成額 100万円

本研究では、新しい日本の農業のあり方として、生物多様性に立脚した農業の実践、総合的生物多様性管理(IBM)の確立を目指す。具体的には、①農地の生物相と生物多様性を人為的にコントロールする方法の確立、②農地の生物相と生物多様性をモニタリングする手法の確立、③IBM農業が成功する場合の生物相と生物多様性の解明 を実際の栽培を通して行う。

植物の環境応答を利用した植物生産性向上技術の開発

goto九州大学 大学院農学研究院 助教
後藤 栄治

助成額 100万円

植物は、周囲の光環境に応じて最適な光合成を行うために、様々な光応答を誘導する。変動する光環境に対して植物は、強光下では光合成へのダメージを避けるための光応答を誘導し、逆に、弱光下では、より光を獲得するための光応答を誘導する。しかしながら植物は、安全を期すために、光合成にダメージが生じない光の下でも敏感に応答してしまい、光を効率的に使うことができず、生産性をロスする。そこで本研究では、光の配合を人工的に変えることで光応答を制御し、植物の生産性を向上させる新たな植物生産技術の開発を目指す。

ポリマー原料の発酵生産を目指した油糧微生物の分子育種

sakamoto

徳島大学 大学院生物資源産業学研究部 助教
阪本 鷹行

助成額 100万円

リシノール酸は一部の植物種子から生産される水酸化脂肪酸であり、鎮痛剤や抗炎症剤としての効果が知られるほか、ポリマー原料として利用できることから石油代替資源として注目されている。本研究では、油糧微生物に脂肪酸水酸化酵素遺伝子を導入し、さらに薬剤処理による遺伝子変異導入を行うことで、実用可能なリシノール酸高生産育種株の構築を目指す。

イネの開花時刻を制御する遺伝子座の特定および早朝開花コシヒカリの育成

sasaki東京大学 大学院農学生命科学研究科 助教
佐々木 和浩

助成額 100万円

本研究では、イネの早朝開花性に関わる新規遺伝子座の同定を目的としている。近年、気候変動により、高温多発地域が増加している。イネは、日中の高温にさらされると、不稔が起き、減収となってしまう。早朝開花遺伝子座は、気温が涼しい早朝にイネ開花させることができるため、高温不稔の被害を軽減できる。

アフリカ熱帯林の原住民によるカカオ栽培が土壌肥沃度に与える影響の定量評価

shibata京都大学 地球環境学堂 研究員
柴田  誠

助成額 100万円

アフリカ熱帯林の保全と原住民の生活向上を両立させる持続的な資源利用法が模索される中、申請者は原住民による在来のカカオ栽培法が当熱帯林特有の養分循環機構を上手く活用出来ている点に着目した。本研究では、養分循環の駆動力である土壌中の窒素動態を解析する事によって原住民のカカオ栽培が環境に及ぼす影響を定量評価し、当地域における持続可能な資源利用法の理論的枠組みを提案する事を目指す。

気候変動とチョウの黒化パターンをグローバルスケールで解析する

suzuki立正大学 環境科学研究所 客員研究員
鈴木 紀之

助成額 100万円

気候が生物に与える影響を評価するため、モンキチョウの仲間の体色にみられる「黒化パターン」を解析します。モンキチョウの仲間は世界中に多くの種が生息しており、翅の模様の黒化度合いに著しいバリエーションがあります。図鑑の標本写真だけでなく、博物館の標本も活用することで、過去から現在に至る黒化パターンの変遷を再現します。これを気候データと結びつけることで、グローバルなデータの解析を目指します。 

天水田におけるイネ生産性向上のための土壌環境ならびに根系機能の解明

nakata名古屋大学 高等研究院 特任助教
仲田 麻奈

助成額 100万円

世界のコメ生産の大部分を占めるアジアには、灌漑設備がなく不安定な降雨に頼ってイネを栽培する天水田が広範囲に存在する。天水田イネの収量は低く、天水田におけるイネ生産性の向上は、アジアにおけるコメ増産の鍵である。本研究では、天水田イネの適応性と生産性維持に必要な形質の同定とその機能解析を、とくに根に注目して進めるとともに、 天水田地域における気象と土壌の環境要因についても明らかにする。

イネ共生細菌を制御する遺伝子座の同定 

masuda

東京農工大学 大学院農学研究院 産学官連携研究員
増田 幸子

助成額 100万円

植物には様々な細菌が共生している。植物共生細菌は宿主植物に成長促進効果や耐病性を与えることから、微生物資材として利用する試みが始まっている。しかし、圃場試験においては、接種効果が不安定であることが多い。本研究は、イネ共生細菌の共生を制御するイネ遺伝子を明らかにし、植物共生細菌を有効利用する新たな農業生産システムを提示することを目的とする。

光るミジンコを使用した環境モニタリング技術の開発

miyagawa宇都宮大学 バイオサイエンス教育研究センター 准教授
宮川 一志

助成額 100万円

環境中をめぐる水は人間の活動などに由来する様々な化学物質の汚染に晒されている。これらの汚染化学物質を迅速かつ簡便に検出する技術が求められている背景のもと、本研究は「水中の汚染化学物質に反応して蛍光を発するミジンコ(光るミジンコ)」を遺伝子組換え技術によって作出することを目指す。作出された光るミジンコを利用したモニタリングシステムは環境保全や化学工業など様々な分野で応用可能であると期待される。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

「クリーン&サステイナブルエネルギー」分野(3名)

TiFe系合金を使用した安全かつ高密度に水素を貯蔵する技術の確立

okumura仙台高等専門学校 機械システム工学科 助教
奥村 真彦

助成額 100万円

希土類を原料としない水素吸蔵合金TiFe0.8Mn0.2を用いて、安全に水素を貯蔵する技術を確立する。TiFe0.8Mn0.2は水素吸蔵量に比例して膨張するため、その粒子を充填した容器を破損させるおそれがある。本研究ではTiFe0.8Mn0.2充填層がその容器に及ぼす力を測定するとともに、その容器内のTiFe0.8Mn0.2粒子の充填状態を定量化し、充填状態が力に及ぼす影響を定量化する。

化合物薄膜太陽電池の高性能化に向けた結晶格子欠陥の制御技術の開発

uekawa

国立研究開発法人産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 研究員
上川 由紀子

助成額 100万円

Cu(Ga,In)Se2(CIGS)系化合物薄膜太陽電池の高効率化を目指して、同太陽電池中の光学的、電気的損失の原因を突き止め、損失を低減する技術を開発する。本研究では特に、化合物半導体中の結晶格子欠陥に着目し太陽電池特性への影響を調べ、欠陥制御法を開発することを目的とする。

常温大気下で太陽光エネルギーにより二酸化炭素を還元する「ガラスの葉」の作製

noji大阪市立大学 複合先端研究機構 特任講師
野地 智康

助成額 100万円

再生可能なエネルギー社会の実現のため、二酸化炭素を燃料源であるギ酸などに変換する人工光合成の開発が求められている。二酸化炭素をギ酸に還元する触媒を使った人工光合成がいくつか報告されているが、大気下では、酸素に反応を阻害されやすくなるため、酸素を除くコストが掛かる。そこで本研究では、大気下でも太陽光エネルギーによって二酸化炭素の還元する新しい人工光合成デバイスの開発を行う。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

 

▲このページのトップへ

Google
Japan Prizeサイト内検索
インターネット検索

研究助成

Japan Prize 30年の歩み


page top