研究助成一覧

2007年

1分野10件、計20件の募集を行いましたが、選考委員会による厳正なる選考の結果、次の若手研究者17名の研究テーマが採択されました。

「基礎研究が発信する革新的デバイス」分野

単原子エレクトロマイグレーションによる極微小電極加工法の確立と単一分子素子への応用
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東京大学大学院 特任研究員(21世紀COE)
梅野 顕憲

助成額 100万円

本研究は、特徴的な寸法が1nm程度の、単一分子レベルのナノ電極加工方法を実現することを目的とする。このために、金属細線から原子をひとつずつ引き剥がして断線させる「単原子エレクトロマイグレーション」という過程を実現し、その素過程の物理を明らかにする。本研究によって、単一分子デバイスの作製歩留まりの飛躍的な向上と、原子レベルの物理に基づく、優れた耐断線性能を持つ実用VLSI配線の提案を行う。
数nmサイズの金属間化合物微粒子を基板上に担持した燃料電池用デバイスの開発
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高知大学理学部附属水熱化学実験所 助手
恩田 歩武

助成額 100万円

バイオマス由来の含酸素炭化水素の水溶液から高選択的に水素を生成する改質反応に有効で活性寿命の長い触媒を開発するために、CVD法により数nm粒径の Ni-Sn系金属間化合物(Ni3SnとNi3Sn2)微粒子を調製する。改質反応の水素収率、COなど副生成物の抑制、および触媒寿命に対する、微粒子の粒径効果(2-10nm)と種々の基板との相互作用の影響をXAFSなどによる構造解析データとともに比較検討する。
DNAナノ構造体を利用した光電変換システムの構築
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大阪大学産業科学研究所産業科学ナノテクノロジーセンター 助教授
井 清彦

助成額 100万円

DNA内において高い光電変換収率を起こすDNAナノ構造体を得るため、理論的な手法に加え、in vitro selection法により、光機能性分子・電荷輸送分子がナノ空間に理想的に配置されたDNAナノ構造体を「選び出す」手法を用いる。光電子移動を自在に操り、高い電荷分離収率が得られるDNAナノ構造体を構築し、一塩基多型の検出法(SNPsタイピング)、光-電変換素子のインターフェースの開発を目指す。
金属触媒を担持したポリホスファゼン複合材料のモデルとなる錯体の合成およびその性質の解明
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東北大学大学院理学研究科化学専攻無機化学研究室 助手
小室 貴士

助成額 100万円

リンと窒素が交互に結合した無機高分子であるポリホスファゼンに、触媒活性を有する遷移金属錯体を担持することで、高分子触媒として機能する複合材料を構築できる可能性がある。本研究では、六員環のシクロトリホスファゼン骨格に遷移金属を担持した化学種を前述のポリホスファゼン化合物のモデルとして捉え、その合成、構造解析および性質を解明し、ポリホスファゼン複合材料の開発につながる有用な基礎的知見を得る。
シリコンナノ粒子超格子の合成と発光デバイスへの応用
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兵庫県立大学大学院物質理学研究科機能性物質学I 助手
佐藤 井一

助成額 100万円

可視領域発光するシリコンナノ粒子を溶液内で化学自己集合させることで、3次元最密充填格子状に配列させ、バルクSiでは本質的に不可能であった高強度可視領域発光する3次元Si人工結晶を作製する。構成要素となるSiナノ粒子のサイズや表面修飾分子を変化させることにより、様々な発光色のフォトルミネッセンス、エレクトロルミネッセンスを実現し、発光デバイスへの応用を目指す。
次世代サブバンド間遷移光デバイス応用に向けた超薄膜InN井戸層を用いた窒化物半導体超格子構造の作製
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千葉大学工学部電子機械工学科 助手
崔 成伯

助成額 100万円

サブバンド間遷移を用いた量子カスケードレーザや超高速光スイッチング素子開発に向け非常に大きい伝導帯バンドオフセット(約3.5eV)を有する InN/GaN/AlN歪補償超格子の実現を目指す。InN層厚を1分子層に制御することで格子緩和・クラックによる結晶性悪化を防ぎ、さらにサブバンド間遷移波長の短波長化(1μm以下)を含む波長制御を実現し、次世代サブバンド間遷移光デバイスの基盤技術を開拓する。
蛍光検出法と超高感度医療用放射線検出器の開発
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独立行政法人放射線医学総合研究所 博士研究員
中村 秀仁

助成額 100万円

分子イメージング等に使用するPETのような医療用放射線検出器や放射線緊急事態に使用するヒューマンカウンター等を超高感度で実現させるためには、検出器の分解能が重要な鍵となる。この分解能は、シンチレーターの本質的な揺らぎの改善により向上できる。そこで、独自に開発した独創的な方法を用いて、シンチレーターの本質的な揺らぎを定量的に抽出・追及する。また新たなに考案した蛍光位置分析法を用いることで、微弱放射線の検出限界のブレークスルーを起こし、医療用放射線検出器の基礎を確立する。
BiSb系マイクロワイヤーアレイ構造熱電変換素子の開発
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埼玉大学大学院理工学研究科 助手
長谷川 靖洋

助成額 100万円

熱(温度差)を電気に直接エネルギー変換を可能とする熱電変換素子の研究開発を行っており、マイクロワイヤーアレイ構造熱電変換素子の開発を進めている。現在使用している材料はBiであり、実用化に向けた最適な材料を用いた素子の開発が求められている。本研究では、液化天然ガスからの冷熱回収を想定した低温領域で効果的に動作する、BiSb系のマイクロワイヤーアレイ構造熱電変換素子の開発を行う。
配位ポリマーを基盤としたナノ構造の制御
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立命館大学理工学部化学生物工学科 助教授
前田 大光

助成額 100万円

種々の架橋ユニットを有するπ共役系有機配位子ジピリン(ジピロメテン)誘導体・オリゴジピリンを合成し、金属イオンとの相互作用を利用した発散型超分子集合体(配位ポリマー)の創製を試みる。錯化条件を検討し、球・ディスク・シート・ファイバーなど多様な形状を示す、ナノ・マイクロメータースケールの蛍光性組織構造の構築と制御を行い、柔軟なナノ・マイクロ構造の特長を応用した機能発現を目指す。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

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「共生の科学と技術」分野

嫌気性消化モデルを利用した、乾式メタン発酵槽内における嫌気性細菌の共生環境最適化に関する研究
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日本大学大学院総合科学研究科環境科学専攻 助手
遠藤 良輔

助成額 100万円

乾式メタン発酵槽内において共生環境を構築している各種有機酸生成細菌及びメタン生成細菌等の嫌気性細菌を対象に、投入基質あたりの回収エネルギーが最大になるような最適化シミュレーションを行う。同時に検証実験として、投入基質と槽内環境条件を様々に変化させた実験を行う。この際、有機酸及び最終生成物であるメタンの生成量を通して槽内細菌同士の共生関係を把握し、これらを指標とした最適システムの構築を行う。
環境中におけるAutoinducer分子を介した多種生物間コミュニケーションシステムの解析
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東邦大学医学部微生物・感染症学講座 助手
木村 聡一郎

助成額 100万円

多くの細菌は、Quorum-sensing(QS)機構、すなわち同種細菌間コミュニケーションシステムを介して自身の環境(細菌密度など)を認識し、応答(病原性の発現など)している。申請者らは、QS分子が宿主細胞や異なる細菌に対しても、ある種のコミュニケーション能を持つことを見出している。本研究では、QS分子を介した異属細菌間コミュニケーションを中心に、既存の概念とは異なる観点からQS機構を解析する。
腸内フローラにおける芽胞形成細菌の検出および同定法の確立
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摂南大学薬学部薬学科微生物学研究室 助手
桑名 利津子

助成額 100万円

芽胞は特性上防除が困難であり、食品や医薬品の衛生管理を行う上で重要な存在である。また消化管内は特別な環境であるため多種多様な菌が存在するが、芽胞形成細菌は芽胞の状態で存在することが多い。本研究では、芽胞形成細菌に高度に保存されているSpoIVAタンパク質とYabGタンパク質をバイオマーカーとし、臨床検査を行う上で必須となるコントロール菌株の作製を行い、芽胞形成細菌の検出および同定法の確立を目指す。
持続的サゴヤシ栽培に関する研究: 熱帯泥炭における地下水位制御
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山形大学農学部附属やまがたフィールド科学センター 助手
佐々木 由佳

助成額 100万円

サゴヤシは湿地性熱帯泥炭で生育可能な希少作物であり、その高いデンプン生産力は熱帯の貴重な食糧資源となる可能性が高い。さらに、デンプン採取後の残さ部位はエタノール醗酵の原料としてエネルギー資源となりうる。本研究は、熱帯泥炭の商業的サゴヤシ生産の場でおこなわれている排水管理が、サゴヤシ生育と圃場内地下水位の変動に与える影響を明らかし、適切な地下水位管理のもとで持続的にサゴヤシを栽培する方法を考察する。
ビクトリア湖産シクリッドのフェロモン・嗅覚コミュニケーションを介した共生システムの構築
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東京工業大学大学院生命理工学研究科 助手
二階堂 雅人

助成額 100万円

東アフリカに位置するビクトリア湖において、わずか12000年という短期間で、700種という莫大な種数・多様性を誇るまでに至ったシクリッドが、「湖」という限られた環境におかれながら、どのようにして異種間レベルでの共生関係を築きあげてきたのか?その環境適応や同所的種分化の分子メカニズムを、「フェロモン」を始めとする「嗅覚コミュニケーション」の側面から明らかにしていく。
温帯における三日熱マラリア流行とその適応戦略に関する数理疫学的研究
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長崎大学熱帯医学研究所熱帯感染症研究センター 助教授(特任)
西浦 博

助成額 100万円

マラリアは熱帯地域のみの感染症でなく、最近の朝鮮半島における流行に見られるように温帯地域でも持続的な流行を起こす。本研究は、韓国の流行におけるマラリア潜伏期間および再発に関する頻度・時期の推定結果を利用して、原虫の進化機構・適応戦略および生態学的安定性を数理科学的に解明する。また、マラリアのない環境に感染者が侵入した場合の地理的拡大の可能性に関して、数理モデルを利用して絶滅確率を含めて検討する。
沿岸環境における薬剤汚染状況と耐性遺伝子の分布・伝播
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愛媛大学沿岸環境科学研究センター生態系解析分野 助手
野中 里佐

助成額 100万円

微生物生態系は環境の恒常性維持に大きな役割を担っており、人間活動により生じた物質の負荷が沿岸環境微生物生態系に与える影響を評価することは非常に重要である。日本の海面養殖業では抗生物質の使用が認可されており養殖環境の汚染が懸念される。また薬剤耐性菌の出現は深刻な問題である。本研究では沿岸環境の薬剤汚染状況、耐性遺伝子の分布を調べ、さらに抗生物質投与と耐性菌増加の関係を明らかにする。
免疫と移植臓器との共生―免疫寛容―のメカニズムの解明
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京都大学大学院医学研究科先端領域融合医学研究機構 研究員
李 穎

助成額 100万円

臓器移植を受けた患者は拒絶を防ぐために投与される免疫抑制剤の弊害に悩まされる。従って、免疫抑制剤なしでも移植臓器に拒絶が起こらない、いわば患者と移植臓器との共生が達成されることは大変に望ましい。これを免疫寛容という。免疫寛容が起こるのは極めてまれであるという既存の概念を覆し、京都大学では肝移植後にすでに80症例の免疫寛容が自然に成立した。この貴重な患者の検体を用いて免疫寛容のメカニズムを解明する。

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

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