The Japan Prize Foundation

Japan Prize

分野検討委員会とは、国際科学技術財団内に設けられた委員会です。翌々年の日本国際賞の授賞対象となる2分野を選定し、毎年11月に発表しています。また、財団に登録された世界15,500人以上の推薦人(著名な学者・研究者)にジャパンプライズWEB推薦システムを通じて受賞候補者の推薦を求めています。

2025 Japan Prize分野検討委員会委員

委員長 宮園 浩平 国立研究開発法人理化学研究所 理事
東京大学大学院医学系研究科応用病理学 卓越教授
副委員長 橋本 和仁 国立研究開発法人科学技術振興機構 理事長
委員 新井 洋由 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 理事
東京大学名誉教授
五十嵐 仁一 ENEOS総研株式会社 顧問
元JXTGエネルギー 取締役常務執行役員
上田 修功 国立研究開発法人理化学研究所革新知能統合研究センター 副センター長
NTTコミュニケーション科学基礎研究所 リサーチプロフェッサー(客員フェロー)
沖 大幹 東京大学大学院工学系研究科 教授
倉永 英里奈 東北大学大学院生命科学研究科 教授
京都大学大学院薬学研究科 教授
黒田 忠広 東京大学大学院工学系研究科 教授
堤 伸浩 東京大学 副学長
東京大学大学院農学生命科学研究科 教授
仲野 徹 大阪大学名誉教授
波多野 睦子 東京工業大学工学院電気電子系 教授・学長特別補佐
宝野 和博 国立研究開発法人物質・材料研究機構 理事長
元村 有希子 毎日新聞 論説委員
吉田 稔 国立研究開発法人理化学研究所 理事
東京大学特別教授室 特別教授

(役職は2023年11月授賞対象分野発表時、敬称略、五十音順)

2025 Japan Prize授賞対象分野

「物理、化学、情報、工学」領域
授賞対象分野:「物質・材料、生産」

(背景、選択理由)

科学技術の急速な発展により、21世紀の社会は新しい材料の開発と製造技術の革新に大きく依存するようになってきています。先端材料は、エネルギー、医療、情報通信、環境保全、ナノテクノロジーなど幅広い分野で技術革新を牽引しています。例えば、高性能な蓄電池などのエネルギー材料、健康長寿に貢献するバイオ材料、超高速の情報処理や通信を可能にする光・半導体材料、量子現象を利用した新機能材料、社会インフラを支える構造材料などが近年活発に研究されています。生産技術においても、3DプリンターやAIを活用した自動生産技術、省エネ・ゼロエミッションを目指す製造技術、循環型社会を実現するリサイクル技術などの革新が進んでいます。また、近年目覚ましく進化しているマテリアルズ・インフォマティクス(MI)は、従来の材料開発・生産技術に大きな飛躍をもたらすと期待されています。こうした物質・材料と生産技術の進歩は、私たちの暮らしを豊かにするとともに、持続可能な社会を構築するために極めて重要です。

(対象とする業績)

2025年の日本国際賞は、「物質・材料、生産」の分野において、飛躍的な科学技術の進展をもたらした物質・材料の発見と開発、あるいは新しい製品やサービス、産業の創出につながった革新的な生産技術の開発に関する業績を対象とします。

「生命、農学、医学、薬学」領域
授賞対象分野:「生物生産、生態・環境」

(背景、選択理由)

人類は古くから農耕牧畜を行い、経験と知恵を重ねて生物生産の技術を発展させ、生産の効率化を進めてきました。近代においては、科学技術の発展によって生産性は飛躍的に向上し、急速な人口増加を支えてきました。その一方で、生物生産の拡大に伴う地球環境の劣化や生物多様性の損失が深刻化しています。
生態系サービスを適切に活用し、持続可能で安定した生物生産を実現するためには、環境や生態系の保全を重視した科学技術イノベーションが不可欠です。たとえば、それぞれの風土と規模に適応した栽培体系や品種の開発、情報通信技術(ICT)やセンシング技術による農業プロセスの最適化や環境モニタリング、ロボット技術を活用した生物生産の効率化と精密化、食品の加工技術や機能性の付与、食品ロスの削減、生産・加工・流通・消費における温室効果ガスの排出削減などが注目されています。生物資源を材料とした新たなバイオプロダクトや、生物機能を活用した物質生産プロセスの開発も期待されています。さらに、生産物を地域間あるいは社会階層間で公正に分配する仕組みの構築や、地域に根ざした農林水産業の持つ多面的な価値の正当な評価も必要です。

(対象とする業績)

2025年の日本国際賞は、「生物生産、生態・環境」の分野において、飛躍的な科学技術の創造・発展・普及をもたらし、生態・環境に関する基礎的な科学の発展や生物生産に関する科学技術の進展を通じて、生態系と調和した人類社会の持続的発展に大きく貢献した、あるいは大きく発展する可能性のある業績を対象とします。

2024 Japan Prize授賞対象分野

「物理、化学、情報、工学」領域
授賞対象分野:「資源、エネルギー、環境、社会基盤」

(背景、選択理由)

科学技術は、脆弱な人間を自然への隷従や理不尽な労働に伴う苦痛から解き放ち、災害や疫病による不慮の死を軽減させ、我々の生活圏や行動範囲と自由な時間、そして知の領域を拡大してきました。しかしながら、そうした科学技術の恩恵に十分浴さず貧困や欠乏の恐怖から自由ではない脆弱な人々もいます。また、さらなる人口増加と人間活動の拡大に伴う気候変動の悪影響や生物多様性喪失の増大等が懸念されています。
そのため、カーボンニュートラルな社会や循環型経済の実現によるそうした地球規模課題の解決と安全で心豊かに暮らせる社会の構築に期待が寄せられています。それには、エネルギーや鉱物資源、水資源、物質循環にかかわる革新的な要素技術の開発と効率や信頼性の向上、そして都市や農村における居住・交通システムの新たなデザインが不可欠です。
また、すべての人々が自己尊重感と尊厳を持ち持続可能で平和な社会への転換を促進するには、人新世や複雑系、ネットワーク、人間の行動選択や信頼醸成などの理解や理論構築、研究開発に新たな潮流を生み出す画期的な概念や枠組みの提案が必要です。さらに、それらを活かした次世代型社会システムの提案や設計と実装、普及も重要です。

(対象とする業績)

2024年の日本国際賞は、「資源、エネルギー、環境、社会基盤」の分野において飛躍的な科学技術の創造・革新・普及をもたらし、それらを通して社会課題を解決し持続可能な社会の構築に大きく貢献する業績を対象とします。

「生命、農学、医学、薬学」領域
授賞対象分野:「医学、薬学」

(背景、選択理由)

科学技術の進歩は医学・薬学の顕著な発展につながり、多くの疾患の発症メカニズムの解明や、ゲノム医療、がん免疫療法、遺伝子治療、細胞療法、新しいタイプのワクチンやドラッグデリバリーシステムなど医薬品・医療技術の革新的な成果がもたらされてきました。こうした成果は、がんや感染症、生活習慣病をはじめとするさまざまな疾患の治療満足度を上昇させ、QOL(生活の質)の向上、平均寿命の延長に大きく貢献してきました。
最近では、情報科学や材料科学といった他分野との協働が盛んにおこなわれ、ブレイン・コンピュータ・インターフェースや再生医療などさまざまな分野の進展に大きく寄与しています。また、倫理的な問題をはらみながらも、高次脳機能や老化の制御も夢物語ではなくなる時代が到来しつつあります。その一方で、認知症のような高齢化に伴う疾患や、ヒトやモノのグローバル化による新興感染症パンデミックといった問題が顕在化してきました。
そのような時代、医学・薬学は、さらなる基礎医学的発見のみならず、その成果の活用や、他分野との融合などを通じて、人々の健康な生活に一層の貢献をすることが期待されています。

(対象とする業績)

2024年の日本国際賞は、「医学、薬学」の分野において、飛躍的な科学技術の発展をもたらし、疾病の発症メカニズム、予防、診断、治療、および予後の予測と対策などに関する新たな発見や革新的な技術の開発を通じて、人々の健康増進に寄与することにより、社会に大きく貢献する業績を対象とします。

Japan Prize授賞対象分野(2025年-2027年)

日本国際賞授賞対象分野は、2授賞領域ごとに、以下の通り決定いたしました。

これらの授賞対象分野は基本的に3年の周期で循環します。
毎年、日本国際賞分野検討委員会から向こう3年間の授賞対象分野が発表されます。

「物理、化学、情報、工学」領域
 
「生命、農学、医学、薬学」領域
授賞対象分野
授賞対象年(回)
授賞対象分野
物質・材料、生産
2025年
生物生産、生態・環境
エレクトロニクス、情報、通信
2026年
生命科学
資源、エネルギー、環境、社会基盤
2027年
医学、薬学
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