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プレスリリース

2017年2月2日

2017年(第33回)Japan Prize(日本国際賞) 受賞者決定
今日の情報セキュリティの礎を築いた「暗号学」の父・シャミア博士
ゲノム編集の常識を覆した2人の女性博士 シャルパンティエ博士・ダウドナ博士

「エレクトロニクス、情報、通信」分野
photoアディ・シャミア博士
「生命科学」分野
photoエマニュエル・シャルパンティエ博士 photoジェニファー・ダウドナ博士

公益財団法人国際科学技術財団(理事長 矢﨑義雄)は本日2017年2月2日(木)、2017年(第33回)Japan Prizeの受賞者を発表しました。本年は「エレクトロニクス、情報、通信」分野と「生命科学」分野を授賞分野として選定し、「エレクトロニクス、情報、通信」分野ではアディ・シャミア博士(イスラエル)が、「生命科学」分野ではエマニュエル・シャルパンティエ博士(フランス)とジェニファー・ダウドナ博士(米国)が選ばれました。

「エレクトロニクス、情報、通信」分野のシャミア博士は「先導的暗号研究による情報セキュリティへの貢献」、「生命科学」分野のシャルパンティエ博士とダウドナ博士は「CRISPR-Casによるゲノム編集機構の解明」がそれぞれ授賞業績となりました。※研究概要につきましては次頁をご参照ください。

また、4月には「Japan Prize Week(日本国際賞週間)」と称し、受賞者が来日しての様々な行事が予定されており、4月19日には国立劇場にて授賞式、4月20日には東京大学伊藤国際学術教育センターにて受賞記念講演会を予定しています。受賞者には、授賞式において賞状、賞牌及び賞金5,000万円(1分野に対し)が贈られます。

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アディ・シャミア博士

1952年7月6日生まれ(64歳 イスラエル)
ワイツマン科学研究所 教授

<受賞対象分野>
「エレクトロニクス、情報、通信」

<授賞と業績>
先導的暗号研究による情報セキュリティへの貢献

<研究概要>
インターネットなどのオープンなデジタルネットワークを利用して、私たちは便利な生活を営んでいます。
その快適さの背景には、重要な情報が盗まれたり、改ざんされたりすることなく、安全性が保たれているということがあります。その根幹となる種々の提案を行い、表現する方法を次々と開発してきたのがアディ・シャミア博士です。デジタルネットワークでの情報は2進数に置き換えられています。シャミア博士は、数学的な方法論を駆使して、画期的な暗号方「RSA暗号」、安全に情報を保管できる「秘密分散法」、秘匿する情報に触れることなく個人を特定できる「個人識別法」、多くの共通鍵暗号を解読できる汎用的な「差分解読法」など多くの発明、提案を行いました。また、暗号を処理するコンピューターなどの消費電力や雑音から暗号を読み解くサイドチャネル攻撃についても、大きな研究成果をあげています。

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エマニュエル・シャルパンティエ博士(写真左)(写真下)

1968年12月11日生まれ(48歳 フランス)
マックス・プランク感染生物学研究所 所長

ジェニファー・ダウドナ博士(写真右)(写真上)

1964年2月19日生まれ(52歳 米国)
カリフォルニア大学バークレー校 教授

<受賞対象分野>
「生命科学」

<授賞と業績>
CRISPR-Casによるゲノム編集機構の解明

<研究概要>
エマニュエル・シャルパンティエ、ジェニファー・ダウドナ両博士によって2012年に発表されたCRISPR-Casシステムによるゲノム編集は、遺伝子工学の革命的な新技術です。生命科学研究の使いやすいツールとして爆発的に広がったほか、育種、創薬、医療などの幅広い分野で応用研究が進んでいます。
この技術は、細菌がウイルスなどの感染に対して巧みに防衛する仕組みの解明を通じて誕生しました。細菌は侵入したウイルスのDNAを自らのDNAに取り込んで記憶し、再度の感染の際には相手のDNAを認識すると、RNAのガイドによりCasタンパク質を誘導してこれを切断し、破壊します。この仕組みを利用して、どんな生物においても目的とするDNAを任意の部位で切断し、削除、置換、挿入など自在な編集を可能にしたのがこの技術です。

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