Press

Press Room

プレスリリース

2024年4月16日

2024年Japan Prize授賞式
天皇皇后両陛下をお迎えして開催

「資源、エネルギー、環境、社会基盤」分野 ブライアン・ホスキンス博士、ジョン・ウォーレス博士
「医学、薬学」分野 ロナルド・エバンス博士

授賞式 ブライアン・ホスキンス 博士
ジョン・ウォーレス 博士 ロナルド・エバンス 博士

公益財団法人国際科学技術財団(理事長:小宮山宏)は、世界の科学技術分野で独創的、飛躍的な成果を挙げ、人類の平和と繁栄に著しく貢献した科学者に贈るJapan Prizeの授賞式を、4月16日(火)、東京都千代田区の帝国ホテル東京で開催しました。

授賞式には、「資源、エネルギー、環境、社会基盤」分野の受賞者、ブライアン・ホスキンス博士(イギリス)とジョン・ウォーレス博士(米国)、「医学、薬学」分野の受賞者、ロナルド・エバンス博士(米国)が参加し、賞状、賞牌に加え各分野につき賞金1億円が贈られました。

Japan Prize受賞者は毎年、国内外の約15,500人の有識者の推薦を受け、約1年間に及ぶ厳正な審査を経て決定されます。本年2024年は「資源、エネルギー、環境、社会基盤」分野で130件、「医学、薬学」分野で198件、総計328件の推薦を受け、その中からそれぞれの分野の受賞者が選ばれました。

式典には、天皇皇后両陛下ご臨席のもと三権の長、関係閣僚の皆様をはじめ、各界の代表の皆様など約150名が出席。天皇陛下からおことばを賜り、3名の受賞者から挨拶、尾辻参議院議長から祝辞が述べられました。

本年の授賞式の様子はこちらのリンクにてご覧いただけます。
https://www.youtube.com/live/9u7k6Al_MlU?si=B8EhDuvEByzFlTKB

◆2024年受賞者

ブライアン・ホスキンス 博士 ジョン・ウォーレス 博士

ブライアン・ホスキンス 博士(左)

1945年5月17日生まれ(78歳 イギリス)
レディング大学気象学科 教授

ジョン・ウォーレス 博士(右)

1940年10月28日生まれ(83歳 米国)
ワシントン大学大気科学科 名誉教授

<授賞対象分野>
「資源、エネルギー、環境、社会基盤」分野

<授賞業績>
異常気象の理解と予測に資する科学的基盤の構築

<研究概要>
2023年夏、北半球各地から熱波や大雨、干ばつによる被害が伝えられました。日本も記録的な猛暑になりましたが、6月に気象庁が発表した季節予報で高温傾向が予想されていました。天気・天候はさまざまな要因が絡み合う複雑な現象ですが、現在では、コンピュータを用いた数値天気・天候予報が実用的な精度で発信されており、社会基盤として不可欠になっています。その背景には、コンピュータの発展や、観測と予報の技術向上があります。それに加え、多様な時空間規模における大気循環変動の実態やメカニズムの解明が進み、各地域の個々の天気現象ばかりでなく、遠く離れた場所で起こった大気循環変動の影響が地球規模でどう伝わるかを把握できるようになったことも重要な背景要因です。このような気象学・気候力学の進展に、ブライアン・ホスキンス博士は理論・数値モデルの研究、ジョン・ウォーレス博士はデータ解析研究によって、1970年代からおよそ半世紀にわたり大きく貢献してきました。盟友である両博士の研究成果を背景に発展してきた数値天気・天候予報は、今や地球温暖化に伴う異常気象を予測し、防災・減災につなげていくという大きな社会的責務を担うようになってきています。

ロナルド・エバンス 博士

ロナルド・エバンス 博士

1949年4月17日生まれ(74歳 米国)
ソーク研究所遺伝子発現研究室 教授

<授賞対象分野>
「医学、薬学」

<授賞業績>
核内ホルモン受容体ファミリーの発見と医薬品開発への応用

<研究概要>
私たちの体の中には数多くのホルモンが存在し、体のさまざまな機能を調節しています。ホルモンは水溶性と脂溶性に分けられ、脂溶性ホルモンについては、細胞内の核までたどり着くことはわかっていましたが、その受容体は長らく未知のままでした。ロナルド・エバンス博士は、世界に先駆けて次々と脂溶性ホルモンやビタミンの受容体の単離に成功し、これらの核内受容体は、共通の構造をもつ分子群(スーパーファミリー)であることを見いだしました。そして、核内受容体は、標的遺伝子の転写を調節する「転写制御因子」として働いていることを明らかにしました。
これにより創薬も加速し、現在ではアメリカ食品医薬品局(FDA)に承認されている薬のうち、核内受容体をターゲットにした薬は15%前後を占めています。ヒトにおけるすべての核内受容体スーパーファミリー(48種類)の全体像を明らかにしたエバンス博士の功績は、学術界のみならず、社会的にも大きな貢献を果たしてきました。

ページトップへ