歴代受賞者

2004年(第20回記念)日本国際賞受賞者

環境改善に貢献する化学技術分野
水の光分解触媒の発見と環境触媒への展開

東京大学名誉教授
1925年生まれ
財団法人神奈川科学技術アカデミー理事長
1942年生まれ
授賞理由

 これまでの社会は、産業経済活動のために大量の化石燃料をエネルギーおよび資源として消費し、その結果として、様々な地域環境問題、酸性雨などの広域環境問題、さらに地球温暖化などの地球環境問題が起きている。一方、化石エネルギーと資源の枯渇が懸念されている。このため、社会の持続的発展のために、環境に調和した化学を基礎とする物質材料技術および環境浄化・保全技術の革新が求められている。

 本多・藤嶋両博士は、1971年に二酸化チタン単結晶電極と白金電極からなる電池系で、二酸化チタンにそのバンドギャップ以上の光を照射すると、水の水素と酸素への分解が起こること(本多-藤嶋効果)を報告した。これは光合成に似た反応であり、人工光合成システム構築の可能性および太陽光の化学エネルギーへの変換、すなわち、水素というクリーンエネルギー生産の可能性を示すものであった。その後、この分野の研究が世界的に展開され、多くの研究論文がこの論文を引用している。光で励起される金属酸化物半導体の触媒研究の礎となる画期的な研究であることが明らかである。

 その後も光化学半導体に関する研究を精力的に進める一方、光化学半導体である二酸化チタンの強い酸化力を利用することで、環境汚染物質、微生物などの分解・除去や汚れ防止が可能なことを示した。蛍光灯などの微弱な光で環境汚染物質、微生物などが酸化的に分解されるメカニズムを明らかにする基礎的な研究に加えて、ガラスなど様々な材料を二酸化チタン微粒子でコーティングする新たな光触媒材料の製造方法を開発した。例えば、太陽光あるいは人工光の照射下で、汚染物質と汚れを分解するセルフクリーニング機能をもつガラス、タイルなどは、自動車の窓・ミラー、トンネル照明用の蛍光灯カバー、テント、建物の外壁、病院の抗菌タイルなどとして実用化されている。

 両博士のこれらの業績は、太陽光を用いる物質・エネルギー生産という人類にとって究極の科学技術研究を促す基礎を提供し、さらに、環境浄化に大きく貢献光触媒材料を開発して、新たな産業としての光触媒産業を生み出す原動力となっている。今後の地球環境の保全と社会の持続的な発展に対する貢献はきわめて大きく、2004年日本国際賞を授賞するにふさわしいものである。

 

Japan Prize歴代受賞者による社会貢献

受賞者

Japan Prize 30年の歩み

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