歴代受賞者

2004年(第20回記念)日本国際賞受賞者

生物多様性保全の科学と技術分野
生物多様性の研究と保全に貢献する基礎調査・実験・理論を包含する業績

 

自然環境研究会議(NERC)理事長
1943年生まれ
授賞理由

 すべての生物種は他の多数の生物種に依存して生きているが、相互依存のネットワークすなわち共生系は複雑であり、それを具体的に明らかにするのはたいへん難しい課題である。しかし、個々の生物種およびそれらを含む生物多様性の保全のためには、解析的な視野に立った共生系の理解が不可欠である。

 ロートン教授はたぐいまれなナチュラリストの素質と透徹した研究者の素質を兼ね備えており、独特かつ優れた着眼点をもって共生系としての生物多様性を解明してきた。ロートン教授の研究は、植物体に蜜腺をもちアリを護衛役としているように見えるワラビ(シダ植物)にたかる草食性昆虫の集団がどのようにして成立し、維持されているかという、昆虫と植物の相互関係と集団構造の研究を起点としている。そこで見いだされた様々な問題点を発展させ、鳥類、昆虫、ほ乳類、植物など広い範囲の生物の中から、研究テーマに最適な生物群を選び、野外における生態観察、継続観察や実験観察、研究室での実験、特に生物を組み合わ せた人工生態系を用いた実験、大規模データセットを利用したパターン解析や数理モデルを用いた理論的解析など、あらゆる生態学的な手法を用いて研究を進 め、生物多様性の科学的理解につながる重要な成果をあげてきた。それらの研究の多くは、生物多様性保全に大きく貢献するものである。

 ロートン教授はまた大規模な環境制御装置エコトロンの創設を推進し、二酸化炭素の増加が生態系にどのように影響するかといった生物多様性と気候変動に関する実験的な研究の進展に貢献した。さらにこの分野において多数の優秀な研究者を育ててきた。

 こうした研究面での貢献と並行して、長年にわたり鳥類の保護活動を続け、現在は英国鳥類保護協会(Royal Society for the Protection of Birds)の副会長および英国鳥類学協会(British Trust for Ornithology;BTO)の副会長をつとめ生物多様性保全に関する諸活動に大きく貢献している。このように生物多様性の保全に必須な基礎的研究とな保護活動を長年にわたって両立させ、傑出した成果をあげているロートン教授の業績は2004年度日本国際賞を授与されるのに誠にふさわしいと言える。

Japan Prize歴代受賞者による社会貢献

受賞者

Japan Prize 30年の歩み

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