受賞者

2014年(第30回)日本国際賞受賞者

「エレクトロニクス、情報、通信」分野
大容量長距離光ファイバー通信用半導体レーザーの先導的研究

写真

末松安晴博士(日本)

東京工業大学栄誉教授
1932年生まれ
授賞理由

 末松安晴博士は、光ファイバーの損失が最小となる波長の光を発し、かつ高速変調時に波長変動が抑制できる半導体レーザーを実現して、インターネットをはじめとする情報ネットワークを支える大容量長距離光ファイバー通信に道を拓いた。

 インターネットは、高速変調が可能な光源と低損失の光ファイバーを用いた大容量長距離光通信により支えられている。しかし1962年に半導体レーザーが作られ、1966年に光ファイバーの低損失予測が提唱されても、その根幹を支える技術が確立するまでには、学術的・技術的ブレークスルーが必要であった。特に、当時の半導体レーザーは高速変調時の発振波長が変動することから、大容量の光ファイバー通信に適用することができなかった。

 末松博士は、光ファイバーを使用する高性能伝送システムを早くから提唱し、実現すべきシステムから必要とされるレーザーの特性を定めて、理論から材料までの広範な分野をカバーした工学的アプローチで大容量長距離通信用途の半導体レーザー開発を先導した。まず1974年に位相シフトを有する周期的構造を用いた反射器を半導体レーザーに集積することを提案し、高速変調時に発振波長が安定する動的単一モードレーザーの概念へと発展させた。並行して、光ファイバーの損失が最小となる1.5µm帯で発振するInGaAsPレーザーの室温連続発振を実現した。1981年には、これらの技術を組み合わせ、位相シフトを有する反射器を集積したInGaAsPレーザーを1.5µm帯で室温連続発振させ、動的単一モード動作を世界で初めて実証した。当初、集積レーザーは技術的に難しいとみられていたが、これを覆して大容量長距離光ファイバー通信への道を拓いたのである。現在、動的単一モードレーザーは、大容量光ファイバー通信の光源として、陸上光幹線、大陸間海底光幹線に遍く使われている。

 今日、社会基盤となった大容量長距離光ファイバー通信への要求はとどまるところがない。今後、光通信が一層大容量化することにより、通常の通信や動画配信にとどまらず、超高精細画像の実時間伝送による遠隔医療など新たなシステムが社会に広く普及していくと期待されている。

 要求される性能を予想し、理論と実験を組み合わせて新たなパラダイムを通信用半導体レーザーにもたらし、光通信波長で動的単一モード発振を実現した末松博士の業績は、工学研究のあるべき姿を示しており、世界を先導して現在の情報化社会の基盤の形成に不可欠な貢献をした。末松安晴博士の業績は「エレクトロニクス、情報、通信」分野における貢献を称える2014年日本国際賞にふさわしいと考える。

【業績解説文】

Google
Japan Prizeサイト内検索
インターネット検索

受賞者

Japan Prize 30年の歩み

page top