Press

Press Room

プレスリリース

2010年(第26回)日本国際賞受賞者決まる
ハードディスクの記憶容量の限界を打破した岩崎俊一博士と
生物地球化学の第一人者 ピーター・ヴィトーセク博士に

公益財団法人国際科学技術財団(理事長 吉川弘之)は2011 年(第27 回)日本国際賞(ジャパンプライズ)の受賞者を発表しました。今年の授賞対象2 分野のうち「情報・通信」分野では、「UNIX オペレーティングシステムの開発」に携わった、いずれも米国の、ベル研究所特別名誉技師デニス・リ ッチー博士(69 歳)とグーグル社特別技師ケン・トンプソン博士(67 歳)が選ばれました。「生命科学・ 医学」分野では、「インターロイキン6 の発見から疾患治療への応用」に一貫して貢献した岸本忠三・大阪大学名誉教授・元総長(71 歳)と平野俊夫・大阪大学教授・医学系研究科長・医学部長(63 歳)が選ばれました。


リッチー博士とトンプソン博士は、ともにベル研究所の研究員であった1969 年に「UNIX」を開発。無秩序に大規模化していたコンピュータのオペレーティングシステムの徹底的な軽量高速化を図りました。同時に、現在でも多くのプログラムの記述に使われているプログラミング言語「C 言語」を開発。 階層型ファイルシステムを特長とする使い勝手に優れたUNIX はC 言語によってさらに移植性が高 まり、組み込みシステムからパーソナルコンピュータ、スーパーコンピュータまで幅広く使われています。人々の暮らしに大きな変化をもたらしたインターネットを牽引したのもUNIX です。UNIX 第6 版は1975 年にソースコードとともに大学・研究機関に配布され、今日のオープンソース文化の原点となりました。カリフォルニア大学バークレー校はこの第6 版を拡張した「BSD」と呼ばれるバークレー版にインターネット通信プロトコル(TCP/IP)を実装したUNIXを開発。こうして、UNIXはインターネットの実現を支えました。


岸本博士と平野博士は、長年にわたる研究の結果、免疫にかかわる細胞間の情報伝達物質である「インターロイキン6 (IL-6)」を発見し、その多様な機能と、複雑な情報伝達経路を解明しました。さらに、IL-6 と、炎症やさまざまな疾患との関連に着目し、IL-6 が関節リウマチを始め各種の疾患の病態に重要な役割を果たすことを明らかにしました。岸本博士は、IL-6 の基礎的な研究を基に、IL-6 の働きを阻害することによって自己免疫疾患である関節リウマチやキャスルマン病などを治療する新薬「トシリツマブ」を製薬会社と共同で開発。トシリツマブは、関節リウマチ治療薬として2008年に日本で承認され、現在では世界70 カ国以上で承認されています。両博士は、IL-6 の発見から新薬の開発まで一貫して発展に貢献しました。


国際科学技術財団は、人類の平和と繁栄に対する4 氏の貢献に対し、2011 年日本国際賞を贈ることを決定しました。授賞式は、4 月20 日(木)に東京で開催され、賞状と賞牌が贈られます。また、各分野に対して賞金5,000 万円が贈られます。

2012 年(第28 回)日本国際賞の授賞対象分野は、「環境、エネルギー、社会基盤」と「健康、医療技術」の2 分野で、現在、世界各国の学者、研究者ならびに有識者に受賞候補者の推薦を依頼しています。

ページトップへ