The Japan Prize Foundation

Japan Prize

分野検討委員会とは、国際科学技術財団内に設けられた委員会です。翌々年の日本国際賞の授賞対象となる2分野を選定し、毎年11月に発表しています。また、財団に登録された世界15,500人以上の推薦人(著名な学者・研究者)にジャパンプライズWEB推薦システムを通じて受賞候補者の推薦を求めています。

2024 Japan Prize分野検討委員会委員

委員長 宮園 浩平 国立研究開発法人理化学研究所 理事
東京大学大学院医学系研究科応用病理学 卓越教授
副委員長 橋本 和仁 国立研究開発法人科学技術振興機構 理事長
委員 新井 洋由 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 理事
東京大学名誉教授
五十嵐 仁一 ENEOS総研株式会社 顧問
元JXTGエネルギー 取締役常務執行役員
上田 修功 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 NTTフェロー
国立研究開発法人理化学研究所革新知能統合研究センター 副センター長
沖 大幹 東京大学大学院工学系研究科 教授
倉永 英里奈 東北大学大学院生命科学研究科 教授
黒田 忠広 東京大学大学院工学系研究科 教授
堤 伸浩 東京大学大学院農学生命科学研究科 研究科長・農学部長
仲野 徹 大阪大学名誉教授
波多野 睦子 東京工業大学工学院電気電子系 教授
宝野 和博 国立研究開発法人物質・材料研究機構 理事長
元村 有希子 毎日新聞 論説委員
吉田 稔 国立研究開発法人理化学研究所 研究政策審議役
東京大学大学院農学生命科学研究科 教授

(役職は2022年11月現在、敬称略、五十音順)

2024 Japan Prize授賞対象分野

「物理、化学、情報、工学」領域
授賞対象分野:「資源、エネルギー、環境、社会基盤」

(背景、選択理由)

科学技術は、脆弱な人間を自然への隷従や理不尽な労働に伴う苦痛から解き放ち、災害や疫病による不慮の死を軽減させ、我々の生活圏や行動範囲と自由な時間、そして知の領域を拡大してきました。しかしながら、そうした科学技術の恩恵に十分浴さず貧困や欠乏の恐怖から自由ではない脆弱な人々もいます。また、さらなる人口増加と人間活動の拡大に伴う気候変動の悪影響や生物多様性喪失の増大等が懸念されています。
そのため、カーボンニュートラルな社会や循環型経済の実現によるそうした地球規模課題の解決と安全で心豊かに暮らせる社会の構築に期待が寄せられています。それには、エネルギーや鉱物資源、水資源、物質循環にかかわる革新的な要素技術の開発と効率や信頼性の向上、そして都市や農村における居住・交通システムの新たなデザインが不可欠です。
また、すべての人々が自己尊重感と尊厳を持ち持続可能で平和な社会への転換を促進するには、人新世や複雑系、ネットワーク、人間の行動選択や信頼醸成などの理解や理論構築、研究開発に新たな潮流を生み出す画期的な概念や枠組みの提案が必要です。さらに、それらを活かした次世代型社会システムの提案や設計と実装、普及も重要です。

(対象とする業績)

2024年の日本国際賞は、「資源、エネルギー、環境、社会基盤」の分野において飛躍的な科学技術の創造・革新・普及をもたらし、それらを通して社会課題を解決し持続可能な社会の構築に大きく貢献する業績を対象とします。

「生命、農学、医学、薬学」領域
授賞対象分野:「医学、薬学」

(背景、選択理由)

科学技術の進歩は医学・薬学の顕著な発展につながり、多くの疾患の発症メカニズムの解明や、ゲノム医療、がん免疫療法、遺伝子治療、細胞療法、新しいタイプのワクチンやドラッグデリバリーシステムなど医薬品・医療技術の革新的な成果がもたらされてきました。こうした成果は、がんや感染症、生活習慣病をはじめとするさまざまな疾患の治療満足度を上昇させ、QOL(生活の質)の向上、平均寿命の延長に大きく貢献してきました。
最近では、情報科学や材料科学といった他分野との協働が盛んにおこなわれ、ブレイン・コンピュータ・インターフェースや再生医療などさまざまな分野の進展に大きく寄与しています。また、倫理的な問題をはらみながらも、高次脳機能や老化の制御も夢物語ではなくなる時代が到来しつつあります。その一方で、認知症のような高齢化に伴う疾患や、ヒトやモノのグローバル化による新興感染症パンデミックといった問題が顕在化してきました。
そのような時代、医学・薬学は、さらなる基礎医学的発見のみならず、その成果の活用や、他分野との融合などを通じて、人々の健康な生活に一層の貢献をすることが期待されています。

(対象とする業績)

2024年の日本国際賞は、「医学、薬学」の分野において、飛躍的な科学技術の発展をもたらし、疾病の発症メカニズム、予防、診断、治療、および予後の予測と対策などに関する新たな発見や革新的な技術の開発を通じて、人々の健康増進に寄与することにより、社会に大きく貢献する業績を対象とします。

2023年 授賞対象分野

「物理、化学、情報、工学」領域
授賞対象分野:「エレクトロニクス、情報、通信」

(背景、選択理由)

IoTの進歩によりビッグデータの生成が進み、大量のデータが利用可能となる中で、深層学習を代表とするAIは飛躍的な発展を続け、多様な分野において斬新なシステムが生まれ、経済活動を活性化するとともに、学問の深化に大きく寄与しています。
この潮流は、光・無線ネットワーク、情報セキュリティ、半導体デバイス、ロボティクス、量子コンピュータなどの基盤技術と、それらを統合するシステム技術の革新により、さらなる展開が想定されます。
これらの技術は人間の社会生活にも広く浸透し、気候変動、食糧問題、エネルギー、健康、教育など、人類が直面する社会課題を解決し、安全・安心で持続可能な社会の実現に貢献するものと期待されます。

(対象とする業績)

2023年の日本国際賞は「エレクトロニクス、情報、通信」分野において、科学技術の飛躍的発展をもたらし、安全・安心で持続可能な社会の実現、自然災害や感染症へのレジリエンスの向上、新しい産業の創造などに大きく貢献した基盤技術やシステム、および今後の社会発展に必要な基礎的な科学技術に関する業績を広く対象とします。

「生命、農学、医学」領域
授賞対象分野:「生命科学」

(背景、選択理由)

生命を遺伝子や細胞の働きから理解する生命科学は20世紀半ばより大きく発展し、生命体の複雑かつ精妙な仕組みを次々と解明してきました。様々な生物や個人の遺伝情報を迅速に解析し、さらに狙った方向に改変する技術が確立し、細胞や組織の微細構造を可視化するイメージング技術なども向上して、生命科学は我々の生活や健康の維持に新たな局面を切り開きつつあります。生命科学が蓄積した基礎知識に基づき、全人類を危機に陥れた新型コロナウイルスパンデミックを抑える切り札となる新しいタイプのワクチンが驚異的なスピードで開発されました。また、単一細胞解析技術の高度化や、染色体の修飾を介して遺伝子発現を制御するエピジェネティクスの解明などにより、生命の理解はますます深化しようとしています。
生命倫理に配慮しつつ、生命現象の基盤について理解を深めることは、新しい医療の創出や、人類の持続可能な発展のための叡智をもたらしてくれるものであり、人々の幸福に貢献すると期待されます。

(対象とする業績)

2023年の日本国際賞は「生命科学」の分野において、新たな生命現象の発見や制御機構の解明、あるいは生命機能のより深い理解を可能にする技術革新など、科学技術の飛躍的発展をもたらし、社会に大きく貢献する業績を対象とします。

Japan Prize授賞対象分野(2024年-2026年)

日本国際賞授賞対象分野は、2授賞領域ごとに、以下の通り決定いたしました。

これらの授賞対象分野は基本的に3年の周期で循環します。
毎年、日本国際賞分野検討委員会から向こう3年間の授賞対象分野が発表されます。

「物理、化学、情報、工学」領域
 
「生命、農学、医学、薬学」領域
授賞対象分野
授賞対象年(回)
授賞対象分野
資源、エネルギー、環境、社会基盤
2024年
医学、薬学
物質・材料、生産
2025年
生物生産、生態・環境
エレクトロニクス、情報、通信
2026年
生命科学
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