平成祈念研究助成

平成記念研究助成

研究助成一覧

2014年

「エレクトロニクス、情報、通信」分野から10件、「生命科学」分野から10件、「クリーン&サステイナブルエネルギー」分野から2件、計22件の募集を行い、選考委員会による厳正なる選考の結果、次の若手研究者22名の研究テーマが採択されました。

「エレクトロニクス、情報、通信」分野(10名)

プラズモニックホットキャリアによる光電変換と光通信デバイスへの応用

本研究では、金属中に励起されるプラズモニックホットキャリアを取出し光電変換を行うことを目的とする。金属を使うことで、回折限界に縛られない表面プラズモンを利用でき、作製プロセスも容易に行うことができる。共鳴構造を用いることで金属由来の光電変換の効率を向上させ、自由空間を伝搬する光のディテクターや光通信デバイスへの応用を進めていく。

助成額 100万円

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独立行政法人情報通信研究機構 未来ICT研究所
研究員

石井 智

ガラス基板上の疑似単結晶薄膜作製技術の開発

本研究では、ガラス基板表面に結晶の形を反映した微細構造を形成し、その基板 上に高配向性の擬似単結晶半導体薄膜を作製する技術を開発する。この技術は、 太陽電池やディスプレイなど、主にガラス上に形成された半導体薄膜デバイスの 性能を飛躍的に向上させることができる。

助成額 100万円

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東京工業大学大学院 理工学研究科 応用化学専攻
助教

大島 孝仁

超高速量子ドットプローブを用いた固体微細構造中局所電子状態のダイナミクスの研究

近年、情報デバイスの高性能化に向け、固体微細構造の重要性が高まっている。有用なデバイスを創成するには、その内部の局所電子状態およびダイナミクスを理解することが重要である。本研究では、局所電子状態にアクセスする量子ドットプローブ、ダイナミクスを明らかにする超高速読み出し手法を組み合わせ、超高速量子ドットプローブを実現し、計測技術を確立する。そして新デバイス設計、改良に役立つ物理現象をミクロで動的な観点から調べる。

助成額 100万円

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独立行政法人理化学研究所 創発物性科学研究センター
特別研究員

大塚 朋廣

超低損失パワーデバイス用途ダイヤモンド低抵抗ウェハの合成研究

SiCやGaNを凌駕する優れた複数の物性値を有するダイヤモンドは、次世代の省エネルギー社会を担うパワー半導体として期待されている。その超低損失パワーデバイス開発には "低抵抗ウェハ" が必須であるが、現在までに確たる合成法は確立しておらず、入手は不可能である。本研究は、単結晶ウェハの大面積合成で近年ブレークスルーがもたらされた化学気相成長 (CVD) 法により、ダイヤモンドの高濃度域でのキャリア濃度変調を試み、低抵抗ウェハ創製にむけた基盤を確立することを目的とする。

助成額 100万円

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独立行政法人産業技術総合研究所 ユビキタスエネルギー研究部門
研究員

大曲 新矢

革新的超分解能画像化法を用いた誘電体内部レーダイメージングに関する研究

マイクロ波帯の超広帯域電磁波は、高い距離分解能(数mm級)を有し、誘電体内部透過性に優れ、従来画像技術(超音波・X線等)の問題を回避する非侵襲・非破壊計測技術として注目を集める。本研究では、私が考案した革新的画像化法と偏波、散乱周波数特性等の複数の特徴量を融合し、領域積分方程式等の従来の逆問題解析法を併用することで、従来の「分解能」・「精度」を超える革新的内部レーダセンサ技術を創出する。

助成額 100万円

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電気通信大学大学院 情報理工学研究科
助教

木寺 正平

メタマテリアルによるゼロ近傍屈折率素子を用いたテラヘルツ波面制御

電磁メタマテリアルは、原子より大きいが電磁波の波長に対しては微小なサイズで、金属ワイヤーや分割リング共振器などの構造体を、原子や分子に見立てて配列し、自然界には存在しない電磁的性質(比誘電率、比透磁率)を持つスーパー物質(メタは“超”の意味)を設計できる概念である。本研究では、テラヘルツ波帯で 電磁メタマテリアル技術を駆使し、ゼロ近傍屈折率素子を用いたテラヘルツ波面制御の研究を行う。

助成額 100万円

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茨城大学 工学部電気電子工学科
助教

鈴木 健仁

異種材料集積化低消費電力CMOS/MEMSウェアラブルデバイスの実現

次世代の電子デバイスとして服や絆創膏のように違和感無く装着可能なウェアラブルデバイスの実現を 目指す。特に、無機ナノ材料の印刷技術を用 いることにより従来の集積化技術とは異なる手法でフレキシブル基板上に低価格・低消費電力・大面積高密度 集積デバイスの実現を目指す。また新たなコンセプトとしてデバイスと人の双方向会話を可能と するスマート絆創膏の開発を行う。

助成額 100万円

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大阪府立大学大学院 工学研究科 テニュアトラック
助教

竹井 邦晴

脳型計算機の実現を目指した仮想学習回路データベース

パターン認識やニューラルネットワークの領域で注目を浴びているDeep Learningへの適用をめざし、知識転移学習と仮想回路を融合した脳型計算機に関する理論構築を行う。仮想回路はデータベース化し必要な時にダウンロードして組み込むことが出来る、高速で省電力な動的再構成プラットフォームを併せて開発する。提案した学習理論と動的再構成プラットフォームは自律型ロボットへ応用し、実環境下での性能評価を行う。

助成額 100万円

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九州工業大学大学院 生命体工学研究科
准教授

田向 権

心拍変動解析によるてんかん発作早期予知デバイスの開発

てんかんとは、脳の異常な神経活動に起因するけいれん、意識障害などの発作を来す疾患で、発作に伴う事故によって重傷や死亡につながる場合がある。しかし、患者が数秒前でも発作の兆候を検知できれば、発作までに身の安全を確保することができ、生活の質(QoL)を改善することができると期待される。そこで本研究では、てんかん患者の心拍をモニタリングすることで、発作を早期に予知できるデバイスの開発を行う。

助成額 100万円

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京都大学大学院 情報学研究科
助教

藤原 幸一

身体的属性情報を用いた商品推薦システムの開発

本研究では、商業施設において、買い物かごなどに設置した加速度センサを用いて顧客の身体的属性を推定し、その情報を基に商品推薦を行うシステムを実現する。顧客がセンサを備える買い物かごを持って歩く際、性別や年齢など身体的属性に特有の加速度データが得られると考えられる。そのセンサデータから身体的属性を推定し、他の類似した身体的属性をもつ顧客が過去に購入した商品を売場内のディスプレイ上で推薦する。

助成額 100万円

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大阪大学大学院情報科学研究科
准教授

前川 卓也

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

「生命科学」分野(10名)

自然免疫受容体によるがん監視機構の解明

がん免疫療法はこれまで主に適応免疫という観点から捉えられてきており、適応免疫への橋渡しをしている自然免疫が、がんに対する免疫監視機構においてどのような働きをしているかについては、未解明な点が多く残されている。本研究では、自然免疫受容体が如何にしてがん細胞が持つ「がん関連分子パターン」を認識し、それによって自然免疫系の活性化が惹起され、がんの増殖に対する監視機構として機能しているのかを明らかにする。

助成額 100万円

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東京大学生産技術研究所 炎症・免疫制御学社会連携研究部門
特任助教

生島 弘彬

人工RNA分子により動的な遺伝子発現制御を実現する「非組換えRNA技術」体系の構築

現在まで発展してきた遺伝子操作技術の多くは DNA と転写制御を基礎にしている。そのため、従来の技術では対象細胞のゲノム DNA を損傷し、細胞運命に予期しない変化を生じさせる危険性があり、医療や解放環境などの分野へ直接応用するのは難しい。そこで本研究では、DNA 分子を操作するかわりに RNA 分子を人工的に操作する、次世代の遺伝子工学技術体系の開発を目的とする。

助成額 100万円

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京都大学 iPS細胞研究所 初期化機構研究部門
特定研究員

遠藤 慧

セロトニン再取り込み阻害薬による不安緩和作用の作用機序解明-光遺伝学を用いて

過剰な不安に苦しむ不安障害の治療薬として用いられるセロトニン再取り込み阻害薬の治療効果・副作用の作用機序を近年発展著しい光遺伝学を用いて解明する。光受容体であるチャネルロドプシン2をセロトニン神経細胞選択的に発現させた遺伝子改変マウスを用いることによって、これまでの薬理学研究をはるかに上回る高い選択性でセロトニン神経を操作することができる。

助成額 100万円

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北海道大学大学院医学研究科
助教

大村 優

記憶が可塑的に変化するメカニズムの解明

記憶は新しい経験によって書き換えられる。この記憶の可塑性は、新しい状況に適応し生きていくために必要な、全ての動物に備わる能力であるが、詳細なメカニズムは明らかでない。最近我々はセロトニン3受容体が記憶の書き換えに関わる重要分子である事を見出した。本研究では、経験によって記憶が可塑的に変化する機序を、遺伝子改変マウスを用いて分子レベルで明らかにし、種を超えて存在する記憶機構の共通原理の解明を目指す。

助成額 100万円

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大阪大学 大学院医学系研究科
助教

近藤 誠

生殖細胞piRNA生合成経路におけるBmYbタンパク質の分子機能解明

生殖細胞特異的に産生される小分子RNAであるpiRNAは、塩基配列特異的に標的RNAに作用することで転移因子の発現を負に制御し、生殖細胞ゲノムの品質管理を担っている。これまでにpiRNA生合成に関わる因子がいくつか報告されており、それらは様々な生物種でよく保存されている。本研究では、カイコ生殖細胞におけるpiRNA生合成経路に焦点を当て、その生合成因子BmYbの分子作用機序を明らかにする。

助成額 100万円

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東京大学大学院理学系研究科
助教

佐藤 薫

なぜ毒をもつ生物は、自分の毒では死なないのか?

この謎の答えはまだ証明されていない。本研究は、出血性毒ヘビであるハブおよびマムシを研究対象としている。これらは気性が激しく、お互いに噛み合うことがあるが死ぬことはない。本研究はハブおよびマムシの血液中に含まれる内在性ヘビ毒阻害タンパク質を網羅的に同定し、これらがどのようにして効率的に自分たちの毒を中和することができるのか?その毒ヘビがもつ自己防御システムの分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。さらに、毒ヘビ血液中の内在性阻害タンパク質を有効利用した新薬開発を目指す。

助成額 100万円

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福岡大学理学部化学科
助教

塩井 成留実

ショウジョウバエと捕食寄生蜂を用いた寄生抵抗性の分子基盤の解明

捕食寄生蜂は、宿主の卵、幼虫、蛹等の特定の発育段階で寄生し、宿主を死に至らしめることから、害虫の天敵防除にも用いられる重要な昆虫である。多くの昆虫がその捕食寄生蜂に対して抵抗性を持つことは良く知られているが、その寄生抵抗性の遺伝基盤は未解明である。本研究では、ショウジョウバエとその寄生蜂を宿主-捕食寄生者のモデル系として用い、寄生抵抗性の遺伝基盤の解明を目的とする。

助成額 100万円

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岡山大学大学院環境生命科学研究科
准教授

高橋 一男

核酸認識系Toll-like receptorの応答制御に関する新規分子の解析

核酸認識系Toll-like receptor (TLR)は病原体のみならず宿主の核酸をも内因性リガンドとして認識するため、その制御が破綻すると自己免疫疾患などが誘導されると考えられている。我々は現在までに、Unc93 homolog B1 (Unc93B1)と呼ばれる分子による応答制御機構が破綻した場合に、致死性の炎症が誘導されることを生体レベルで証明した。本研究では、私が新たにクローニングした核酸認識系TLRの応答を制御する分子について解析を行う。

助成額 100万円

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東京大学医科学研究所
助教

福井 竜太郎

光受容体CarHの構造解析によるビタミンB12の新規機能の解明

生物は様々な色素を使って光を捉えている。例えば、ヒトの目はビタミンA、植物はビタミンB2に由来する色素を利用することが知られている。これまで、ビタミンB12はアミノ酸や脂肪酸の合成に関わることが知られていたが、最近、感光色素としても働くことがわかった。本研究では、ビタミンB12による光応答の機能発現メカニズムの詳細を明らかにするため、X線解析法を用いて含ビタミンB12光受容体CarHの構造研究に取り組む。

助成額 100万円

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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 分子科学研究所
特任助教

村木 則文

”初期胚の小胞体成熟におけるショウジョウバエpecanexの機能の解析”

すべての多細胞生物は、受精卵という一つの細胞から一つの個体を構築します。私は、ショウジョウバエを用いた研究により、初期胚では、小胞体が固有の構造を介して分裂することを発見しました。このことは、初期胚における小胞体成熟が、個体の発生に必須であるという新しい概念を示唆しています。私は、小胞体調節因子Pecanexの機能を調べることにより、初期胚の特殊性とその重要性について明らかにしたいと考えています。

助成額 100万円

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大阪大学大学院理学研究科
助教

山川 智子

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

「クリーン&サステイナブルエネルギー」分野(2名)

電力供給安定化用高性能蓄電源の開発にむけた全固体リチウム-空気電池の中温特性評価

高エネルギー密度と安全性を両立する蓄電池として、全固体リチウム-空気電池の開発を世界に先駆けて行ってきており、本電池は不安定供給電力の安定化用蓄電源として期待できる。本研究では、温度上昇に伴う特性の向上が期待できる中温域での作動を目指し、測定系の確立と評価を行い、問題点の抽出および改善を行うこと、或いはその指針を得ることを目的とする。本研究成果は将来的に高性能蓄電池の開発に繋がることが期待される。

助成額 100万円

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独立行政法人産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門
研究員

北浦 弘和

バイオ燃料製造のための実用性の高いフィッシャートロプシュ触媒の研究

再生可能なバイオマス資源から液体燃料やケミカルを製造するプロセスの確立は持続可能な社会の実現に向けて重要な課題である。本研究ではバイオマスのガス化によって得られた合成ガスからフィッシャートロプシュ合成により液体燃料を製造するプロセスの高効率化を目標に、触媒開発を行う.単に触媒の高性能化を目指すだけでなく、触媒の寿命や経済性等も評価し、実用化を意識した研究を行なう。

助成額 100万円

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独立行政法人産業技術総合研究所 バイオマスリファイナリー研究センター
研究員

志村 勝也

(所属、役職は助成当時のもの、五十音順)

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