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2012年(第28回)日本国際賞受賞者決まる
分子標的治療薬の開発で白血病治療に道を開いたジャネット・ラウリー博士ら3氏と
世界最高性能の永久磁石を開発し省エネに貢献した佐川眞人博士に決定

 

公益財団法人国際科学技術財団(理事長 吉川弘之)は本日、2012年(第28回)日本国際賞(ジャパンプライズ)の受賞者を発表しました。今年の授賞対象2分野のうち「健康、医療技術」分野は、「がん特異的分子を標的とした新しい治療薬の開発」に携わったジャネット・ラウリー博士(86歳)、ブライアン・ドラッカー博士(56歳)、ニコラス・ライドン博士(54歳)のいずれも米国の3氏に決定。「環境、エネルギー、社会基盤」分野では、「世界最高性能Nd-Fe-B(ネオジム-鉄-ホウ素)系永久磁石の開発と省エネルギーへの貢献」が高く評価された佐川眞人博士(68歳)が選ばれました。

シカゴ大学特別教授のラウリー博士(86歳)は、不治の病と恐れられていた慢性骨髄性白血病(CML)の解明に取り組みました。CML患者の染色体を解析した結果、1973年に、ほぼ全例の白血球で9番染色体と22番染色体が組み換えを起こしていることを発見。ラウリー博士のこの発見を基礎として、その後、染色体の組み換えによって染色体上の遺伝子が融合して産生される特殊な酵素がCMLの原因であることが1980年代に証明され、CMLの画期的治療薬となるイマチニブ開発への道が拓かれました。

ライドン博士とドラッカー博士は、1993年に、この特殊な酵素を標的にしたCML治療薬の開発に向けて共同研究を開始し、試験管内でこの酵素の活性を阻害する低分子化合物を発見しました。イマチニブと命名されたこの化合物は、その後の臨床試験によって、90%以上の患者で白血病細胞を検出不可能なレベルまで減少させ、CML患者の完全な社会復帰を可能にするという劇的な効果を示しました。イマチニブの開発で用いられた分子標的アプローチは、その後のがん治療薬開発のモデルとして、医療技術分野に大きく貢献しました。ライドン博士は、ブループリント・メディスン社を創設し、現在取締役を務め、ドラッカー博士はオレゴン健康科学大学教授兼ナイトがん研究所長の職にあります。

佐川博士は新しい永久磁石材料の研究に取り組み、1982年に従来の磁石の約2倍の最大エネルギー積が得られるNd-Fe-Bの組成を発見。その後改良を重ねて、ネオジム磁石を広く利用できる工業材料として完成させました。世界最強の磁石と考えられるネオジム磁石を使ったモーターは小型軽量で高い効率性が得られることから、コンピュータ用ハードディスクからエアコン、冷蔵庫、工作機械、建設用重機にいたるまで幅広く使われています。国内の電力需要の57%(2005年)はモーターが占めていることから、今後、従来型のモーターをネオジム磁石を使った高効率のモーターに置き換えることで大幅な電力の節約が期待されます。また、近年では風力発電機用モーターのほか、ハイブリッド自動車、電気自動車用モーターの全てにネオジム磁石が使われるなど省エネルギーおよび二酸化炭素排出削減への貢献はますます増大しています。また、医療分野でも、磁気共鳴画像装置(MRI)の大幅な小型化と低価格化を可能にし、装置の普及に貢献しています。佐川博士は、ネオジム磁石の新たな可能性を切り拓くため、1988年にインターメタリックス株式会社を設立し、企業の枠にとらわれず、大学などの研究者と研究コミュニティを構築。また、企業人として実用化までの技術開発を精力的に行い、ネオジム磁石技術の研究と普及に大きく貢献しました。

この4氏の人類の平和と繁栄に対する貢献に対し、2012年日本国際賞が贈られます。授賞式は、4月25日(水)に東京で開催され、各氏に賞状と賞牌、また、各分野に対して賞金5,000万円が贈られます。

 

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Japan Prize News No.64

2021 Japan Prize受賞者決定
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