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2014年(第30回)日本国際賞受賞者決まる
今日の情報化社会を支える光ファイバー網の基盤技術確立に貢献した末松安晴博士と
遺伝子の後天的変化の謎を解き明かしたデビッド・アリス博士に

公益財団法人国際科学技術財団(理事長 矢﨑義雄)は本日、2014年(第30回)日本国際賞(ジャパンプライズ)を末松安晴博士(日本)とデビッド・アリス博士(米国)に授与することを都内で行われた発表会で明らかにしました。発表会には両受賞者が出席し喜びを語りました。両氏には4月に予定されている授賞式で賞状と賞牌が贈られます。

東京工業大学栄誉教授である末松博士は「エレクトロニクス、情報、通信」分野での受賞です。「大容量長距離光ファイバー通信用半導体レーザーの先導的研究」により、インターネットを始めとする情報ネットワークを支える大容量長距離光ファイバー通信に道を拓いた功績が認められました。1980年代初め、同博士は光ファイバー通信用の光源として、ファイバー内での損失が最小になる波長の光を発すると同時に、情報を送るために光を高速で変調しても波長が安定している「動的単一モードレーザー」を完成。大容量光通信の根幹となる技術を確立しました。現在、この動的単一モードレーザーは陸上光幹線、大陸間海底光幹線に広く使われており、同博士の業績は世界を先導して今日の情報化社会の基盤の形成に不可欠な貢献をしました。

アリス博士は、今年のもう一つの授賞対象分野である「生命科学」分野での受賞で、DNA配列の変化を伴わない遺伝子の後天的変化を研究するエピジェネティクスの学問領域で、世界で初めて、「遺伝子発現の制御機構としてのヒストン修飾を発見」。長年謎となっていた、染色体を構成するタンパク質の1つで、DNAが巻きついているヒストンの化学変化(化学修飾)の意義を解明しました。同博士の発見以来、ヒストン化学修飾による遺伝子活性制御機構の概念が確立し、エピジェネティクスに大きなインパクトを与えました。また、がんの発症にヒストン化学修飾のようなエピジェネティクスの異常も関与していることがわかっており、がん治療薬の開発に貢献しています。実際、ヒストン・タンパク質のアセチル化を制御する薬剤が皮膚T細胞リンパ腫の治療薬として米国で承認され、臨床の場で使用されています。ヒストン化学修飾の研究はiPS細胞を用いた再生医療の進歩にも貢献しています。アリス博士は現在、米国ロックフェラー大学教授として、クロマチン生物学・エピジェネティクス研究室の室長を務めています。

末松、アリス両博士はそれぞれの分野で研究成果をあげて科学技術の進歩に大きく貢献すると同時に、人類の平和と繁栄にも著しい貢献が認められ、2014年日本国際賞受賞者に選ばれました。授賞式は、4月23日(水)に東京で開催され、各氏に賞状、賞牌と賞金5,000万円が贈られます。

2015年(第31回)日本国際賞の授賞対象分野は「資源、エネルギー、社会基盤」と「医学、薬学」の2分野で、現在、財団が選んだ世界各国の学者、研究者などの有識者に受賞候補者の推薦を依頼しています。

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