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2016年4月20日

2016年(第32回)Japan Prize授賞式
天皇皇后両陛下をお迎えして開催 日本と米国の2博士が受賞

 

2016年(第32回)Japan Prize授賞式

 

世界の科学技術分野で独創的な成果を上げ、人類の平和と繁栄に著しく貢献した科学者に贈られるJapan Prize(日本国際賞)の授賞式が4月20日(水)、天皇皇后両陛下のご臨席のもと、東京都千代田区の東京国際フォーラムで開かれました。

2016年(第32回)Japan Prizeの対象分野は、「物質、材料、生産」と「生物生産、生命環境」の2分野で、材料科学の新領域を次々と開拓して産業の発展に貢献した細野秀雄博士(日本)と、ゲノム解析により作物育種を「経験と勘」から「科学」に高め、食糧の安定生産に寄与したスティーブン・タンクスリー博士 (米国)がそれぞれの分野で受賞し、賞状と賞牌に加え、各分野につき賞金5000万円が贈られました。

Japan Prize受賞者は毎年、国内外の約13,000人の有識者の推薦を受け、約1年間に及ぶ厳正な審査を経て決定されます。2016年の受賞対象「物質、材料、生産」分野では204件、「生物生産、生命環境」分野では88件の推薦を受け、その中から両博士が選ばれました。

式典には、天皇皇后両陛下ご臨席のもと各界を代表する方々や、学界、財界などの関係者ら約1,000名が出席。式典に続いて記念演奏会が催され、両博士のリクエスト曲が東京藝術大学シンフォニー・オーケストラによって演奏されました。当日の画像は、以下のリンクよりダウンロードいただけます。

https://www.japanprize.jp/press_photo_2016.html

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細野 秀雄(ほその・ひでお) 博士

1953年9月7日生まれ(62歳)
東京工業大学元素戦略研究センター長
同大学応用セラミックス研究所 教授

<受賞対象分野>
「物質、材料、生産」

<授賞と業績>
ナノ構造を活用した画期的な無機電子機能物質・材料の創製

<研究概要>
新たな材料の発見は、産業や社会を変革する大きな力になります。細野秀雄博士の挑戦は、まだ誰も成し遂げていない領域で新たな機能性材料を創り出すことでした。例えば、ガラスのような「透明な酸化物」は、電気を通さないため電子機能材料には向かないとされていましたが、博士はそのナノ構造を研究することで「透明アモルファス酸化物半導体」を開発。
 現在では液晶や有機EL ディスプレイなど幅広く世の中で役に立っています。そのほか、超伝導物質にはならないというのが常識とされていた鉄系化合物で高い超伝導転移温度を達成したり、典型的な絶縁体と考えられてきた物質のナノ構造を改変することで「電気を通すセメント」を開発するなど、画期的な無機電子機能物質・材料を次々と生み出しました。

Photo

スティーブン・タンクスリー(Steven D. Tanksley) 博士

1954年4月7日生まれ(62歳)
コーネル大学名誉教授

<受賞対象分野>
 「生物生産、生命環境」

<授賞と業績>
ゲノム解析手法の開発を通じた近代作物育種への貢献

<研究概要>
人類は、農業を始めて以来、優れた作物を求めて品種改良を行ってきました。多くの場合、その手法は経験と勘と偶然に頼ったものでしたが、1980 年代以降にゲノム解析技術が急速に進歩したことで大きく進歩しました。そして、この分野をリードし続けたのがスティーブン・タンクスリー博士です。
 博士は、ゲノム解析により作物の染色体地図を作成し、その後、果実の大きさなど農業の生産性に関連した遺伝子を同定するなど、品種改良に役立つゲノム解析手法を開発しました。博士の研究がもたらしたゲノム情報と育種技術の融合は、優れた形質を持つ作物の選択精度を高め、求められる作物の計画的育種とかかる時間の短縮に大きく貢献しました。

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