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プレスリリース

2021年1月29日

2021年Japan Prize(日本国際賞)受賞者決定

「資源、エネルギー、環境、社会基盤」分野
photoマーティン・グリーン博士
「医学、薬学」分野
photoバート・フォーゲルシュタイン博士 photoロバート・ワインバーグ博士

公益財団法人国際科学技術財団(理事長 小宮山宏)は、本日2021年1月29日(金)、2021年Japan Prizeの受賞者を発表しました。本年の対象2分野について、「資源、エネルギー、環境、社会基盤」分野はマーティン・グリーン博士(オーストラリア)が単独で、「医学、薬学」分野はバート・フォーゲルシュタイン博士(米国)とロバート・ワインバーグ博士(米国)が共同で、それぞれJapan Prizeを受賞します。

受賞業績は、グリーン博士が「高効率シリコン太陽光発電デバイスの開発」、フォーゲルシュタイン博士とワインバーグ博士が「多段階発がんモデルの提唱と実証及びそれらがもたらしたがん治療への貢献」です。

国内外約14,000名の著名な科学者や技術者に依頼し、「資源、エネルギー、環境、社会基盤」分野で142件、「医学、薬学」分野で243件の推薦を受けました。推薦された計385件の候補の中から、今回の受賞者を決定しました。

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マーティン・グリーン博士

1948年7月20日生まれ(72歳 オーストラリア)
ニューサウスウェールズ大学 教授

<授賞対象分野>
「資源、エネルギー、環境、社会基盤」

<授賞業績>
高効率シリコン太陽光発電デバイスの開発

<研究概要>
2010年代半ばに太陽光発電が火力発電をコスト面で下回り、太陽光発電の普及による脱炭素社会の実現が現実味を帯びてきました。これは、太陽光発電デバイスのエネルギー変換効率の向上によりコスト低下が進み、大規模太陽光発電が可能になった結果といえます。
マーティン・グリーン博士は、1970年代から結晶シリコン太陽光発電デバイスのエネルギー変換効率を高める研究に取り組み、「電子と正孔*1(せいこう)の再結合を抑制することが重要である」として、さまざまな技術を提案してきました。中でも1999年にエネルギー変換効率24.7%(2008年に基準の変更で25.0%と認定)を達成したPERC構造は、現在、多くの結晶シリコン太陽光発電デバイスに採用されています。
また、博士が育てた多くの人材が、世界各地で大規模太陽光発電デバイスを事業化し、太陽光発電の普及に貢献しています。
*1:半導体において、真性半導体であれば電子で満たされているべき価電子帯の電子が不足した状態を表す。

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バート・フォーゲルシュタイン博士(写真左)(写真下)

1949年6月2日生まれ(71歳 米国)
ジョンズ・ホプキンス大学 教授

ロバート・ワインバーグ博士(写真右)(写真上)

1942年11月11日生まれ(78歳 米国)
ホワイトヘッド研究所 研究員
マサチューセッツ工科大学 教授

<授賞対象分野>
「医学、薬学」

<授賞業績>
多段階発がんモデルの提唱と実証及びそれらがもたらしたがん治療への貢献

<研究概要>
かつてがんは「不治の病」と言われましたが、現代ではその考えは大きく変わり、多くのがん患者が適切な治療を受けることでがんを克服できるまでになりました。また、がんの早期診断法や予防法も大きく進歩しました。こうした進展の背景として、細胞のがん化の仕組みについての理解が著しく進んだことがあげられます。端的にいえば、「がんは1個の細胞内に複数の遺伝子の変異・異常が段階的に蓄積することによって発生する」というモデルが提唱され、それが実証されたことです。このモデルの基盤形成および実証に最も大きく貢献したのが、バート・フォーゲルシュタイン博士とロバート・ワインバーグ博士です。

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