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プレスリリース

2023年4月13日

2023年 日本国際賞(Japan Prize)授賞式
天皇皇后両陛下をお迎えして開催

「エレクトロニクス、情報、通信」分野 中沢正隆博士、萩本和男氏
「生命科学」分野 ゲロ・ミーゼンベック博士、カール・ダイセロス博士

中沢正隆 博士 萩本和男 氏
ゲロ・ミーゼンベック博士 カール・ダイセロス 博士

公益財団法人国際科学技術財団(理事長:小宮山宏)は、世界の科学技術分野で独創的な成果を挙げ、人類の平和と繁栄に著しく貢献した科学者に贈る日本国際賞(Japan Prize)の授賞式を、4月13日(木)、東京都千代田区の帝国ホテル東京で開催しました。

授賞式には、「エレクトロニクス、情報、通信」分野の受賞者、中沢正隆博士(日本)と萩本和男氏(日本)、「生命科学」分野の受賞者、ゲロ・ミーゼンベック博士(オーストリア)とカール・ダイセロス博士(米国)が参加し、賞状、賞牌に加え各分野につき賞金1億円が贈られました。

日本国際賞(Japan Prize)受賞者は毎年、国内外の約15,500人の有識者の推薦を受け、約1年間に及ぶ厳正な審査を経て決定されます。本年2023年は「エレクトロニクス、情報、通信」分野で123件、「生命科学」分野で204件総計327件の推薦を受け、その中からそれぞれの分野の受賞者が選ばれました。

式典には、天皇皇后両陛下ご臨席のもと三権の長、関係閣僚の皆様をはじめ、各界の代表の皆様など約140名が出席。天皇陛下からおことばを賜り、4名の受賞者から挨拶、尾辻参議院議長から祝辞が述べられました。

本年の授賞式の様子はこちらのリンクにてご覧いただけます。https://youtu.be/lFN9Xk86lpM

◆2023年受賞者

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中沢正隆 博士(左)

1952年9月17日生まれ(70歳 日本)
東北大学 卓越教授(DP)/特任教授

萩本和男 氏(右)

1955年1月8日生まれ(68歳 日本)
国立研究開発法人情報通信研究機構 主席研究員

<授賞対象分野>
「エレクトロニクス、情報、通信」

<授賞業績>
半導体レーザー励起光増幅器の開発を中心とする光ファイバ網の長距離大容量化への顕著な貢献

<研究概要>
私たちは、メールやSNS、オンライン会議などで日常的に世界とつながり、クラウドサービスを利用して大量のデータを保持するようになりました。インターネット上で利用できる情報リソースの、このような多様化と大容量化の背景には、多くの情報を高速で遠くまで送ることができる「光通信システム」が低価格で提供されるようになったことがあります。
1980年代、中沢博士と萩本氏は、当時、遠距離の光通信システムの実現に必要不可欠であるにも関わらず実用化が難しいとされていた「小型・高効率・広帯域の光増幅器」を、「エルビウム添加ファイバ」と「InGaAsP半導体レーザー」を組み合わせることによって実現しました。それからわずか5年ほどで、この光増幅器を搭載した中継器は、太平洋・大西洋横断海底光ケーブルをはじめ世界を結ぶ幹線系長距離伝送網に採用されました。当時の光通信システムの実用化を飛躍的に進展させるとともに、現在に至るまで、この技術を基礎として光通信システムの発展が続いています。
両氏が開発した光増幅器は、グローバルなインターネット社会を支える基幹技術である「長距離・大容量光データ通信」の道を拓いたのです。

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ゲロ・ミーゼンベック 博士(左)

1965年7月15日生まれ(57歳 オーストリア)
オックスフォード大学神経回路・行動学研究所
ウェインフリート生理学教授

カール・ダイセロス 博士(右)

1971年11月18日生まれ(51歳 米国)
スタンフォード大学医学部バイオエンジニアリング学科・精神医学学科、
ハワード・ヒューズ医学研究所 教授

<授賞対象分野>
「生命科学」

<授賞業績>
遺伝子操作可能な光感受性膜タンパク質を用いた神経回路の機能を解明する技術の開発

<研究概要>
行動や思考、記憶、意思決定など、私たちがふだん行っているあらゆる振る舞いは、脳を構成する神経細胞の活動によって生み出されています。どの神経細胞のどのような活動パターンが、最終的にこれらの振る舞いを生み出しているのでしょうか。その因果関係を明らかにすることは、神経科学における重大なテーマです。
従来は、電気刺激や薬剤投与などの方法を用いて、特定の脳領域を活性化あるいは抑制化して、行動がどう変わるかを観察することで、その脳領域の役割が調べられてきました。しかし、こうした方法では、狙った神経細胞の活動だけを高精度に制御することは困難でした。
そこで新たに登場したのが、光を照射して狙った神経細胞の活動を自在にコントロールする方法です。生きた動物で使えるため、神経細胞の活動とそれによって生み出される行動との関係を直接調べることができます。
ミーゼンベック博士は、この技術の概念と原理を考案し、実証することに成功しました。そして、ダイセロス博士は、この技術をより簡便かつ高精度なものに発展させ、幅広い研究に応用できるようにしました。
光刺激を用いたこの技術は、いまや神経科学研究において不可欠なツールとなり、この分野に目覚ましい発展をもたらしています。そして、失明した人の視力回復やパーキンソン病の治療法の開発など医療への応用も期待されています。

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