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プレスリリース

2025年4月16日

2025年Japan Prize授賞式
天皇皇后両陛下をお迎えして開催

「物質・材料、生産」分野 ラッセル・ディーン・デュプイ博士
「生物生産、生態・環境」分野 カルロス・M・ドゥアルテ博士

ラッセル・ディーン・デュプイ 博士
カルロス・M・ドゥアルテ 博士

公益財団法人国際科学技術財団(理事長:永井良三)は、世界の科学技術分野で独創的で、飛躍的な成果を挙げ、人類の平和と繁栄に著しく貢献した科学者に贈るJapan Prizeの授賞式を、4月16日(水)、東京都渋谷区の新国立劇場で開催しました。

授賞式には、「物質・材料、生産」分野の受賞者、ラッセル・ディーン・デュプイ博士(米国)、「生物生産、生態・環境」分野の受賞者、カルロス・M・ドゥアルテ博士(スペイン)が参加し、賞状、賞牌に加え各分野につき副賞として1億円が贈られました。

Japan Prize受賞者は毎年、国内外の約15,500人の有識者の推薦を受け、約1年間に及ぶ厳正な審査を経て決定されます。本年2025年は「物質・材料、生産」分野で149件、「生物生産、生態・環境」分野で72件、総計221件の推薦を受け、その中からそれぞれの分野の受賞者が選ばれました。

式典には、天皇皇后両陛下ご臨席のもと三権の長、関係閣僚の皆様をはじめ、各界の代表の皆様など 約700名 が出席。天皇陛下からおことばを賜り、2名の受賞者から挨拶、額賀衆議院議長から祝辞が述べられました。

本年の授賞式の様子はこちらのリンクにてご覧いただけます。
https://youtube.com/live/zTknLtGyoBQ
受賞者プロフィール写真・授賞式当日写真はこちらにアップロードいたします。
https://www.japanprize.jp/press_photo.html

Photo

ラッセル・ディーン・デュプイ 博士

1947年7月9日(77歳 米国)
ジョージア工科大学 教授

<授賞対象分野>
「物質・材料、生産」分野

<授賞業績>
化合物半導体電子・光デバイスのための有機金属気相成長法の開発と大規模商用化への先駆的貢献

<研究概要>
パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器の登場により、日常的に大量の情報が飛び交う時代になりました。この情報化社会を支える多様な情報端末や周辺機器には、さまざまな半導体デバイスが使われています。半導体は、電子の流れを制御することができる物質で、トランジスタをはじめとする種々の電気的特性をもつ電子デバイスを作り出せます。さらに2種類以上の元素を組み合わせてできる化合物半導体では、元素の組み合わせが生み出す多彩な特性によって、発光ダイオード(LED)・半導体レーザー・太陽電池などの種々の電子・光デバイスを実現できます。
化合物半導体の大規模商用生産には、有機金属化合物ガスを原料とする「有機金属気相成長法(MOCVD)」という方法が幅広く用いられています。ラッセル・ディーン・デュプイ博士は、1970年代に化合物半導体の作製方法としてMOCVDに注目し、この手法により作製したデバイスが優れた実用特性を示すことを実証しました。デュプイ博士の研究によって化合物半導体電子・光デバイスの量産と商用化につながる道が大きく開かれました。

Photo

カルロス・M・ドゥアルテ 博士

1960年7月27日(64歳 スペイン)
アブドラ王立科学技術大学生物環境理工学部 特別教授

<授賞対象分野>
「生物生産、生態・環境」

<授賞業績>
地球環境変動下にある海洋生態系に関する研究、特にブルーカーボンの先導的研究への貢献

<研究概要>
海洋は私たち人間社会にさまざまな恩恵をもたらしています。その一方で、海洋環境の悪化はますます深刻化しており、海洋生態系に悪影響を及ぼしています。
カルロス・M・ドゥアルテ博士は、地球環境変動下にある海洋生態系に関する研究の第一人者です。特に、ブルーカーボン(海洋生態系が吸収する炭素)に関する研究では、炭素吸収源としての海洋生態系の重要性を明らかにし、地球温暖化対策の新たな指針を与えるなど、大きな貢献をしています。
ドゥアルテ博士は、海洋生態系の中でも、塩生植物、マングローブ、海草によって構成される「沿岸植生域」が、最大のブルーカーボン貯蔵庫であることを発見しました。沿岸植生域の海底には、全海洋における年間堆積量の50%に相当するブルーカーボンが堆積し、しかも1000年以上にわたってここに貯留されます。このことから、沿岸植生域は地球温暖化を抑止する上で最重要の生態系であることが明らかになりました。
一方、沿岸植生域は人間活動によってもっとも破壊された生態系であり、ドゥアルテ博士はその保全と再生に向けた活動も行っています。さらに、現存する海洋生態系の機能を利活用することが、持続可能な地球の未来につながる鍵になるとドゥアルテ博士は指摘しています。その先見性は、私たちの希望の光となっています。

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