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プレスリリース

2025年1月21日

2026 Japan Prize受賞者決定

「エレクトロニクス、情報、通信」分野
photoシンシア・ドワーク 博士
「生命科学」分野
photo審良静男 博士 photoジージャン・チェン 博士

公益財団法人国際科学技術財団(理事長 永井良三)は、本日2026年1月21日(水)、2026年Japan Prizeの受賞者を発表しました。本年の対象2分野について、「エレクトロニクス、情報、通信」分野はシンシア・ドワーク博士(米国)、「生命科学」分野は審良 静男博士(日本)とジージャン・チェン博士(米国)がJapan Prizeを受賞します。

授賞業績は、ドワーク博士が「差分プライバシーや公平性などの倫理的なデジタル社会構築に向けた先導的な研究への貢献」、審良博士とチェン博士が「自然免疫システムによる核酸認識メカニズムの解明」です。

本年度は、国内外約16,000名の著名な科学者や技術者に依頼し、「エレクトロニクス、情報、通信」分野で107件、「生命科学」分野で185件の推薦を受けました。推薦された計292件の候補の中から、今回の受賞者を決定しました。

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シンシア・ドワーク 博士

1958年6月27日(67歳 米国)
ハーバード大学コンピュータサイエンス 教授
Professor of Computer Science, Harvard University

<授賞対象分野>
「エレクトロニクス、情報、通信」分野

<授賞業績>
差分プライバシーや公平性などの倫理的なデジタル社会構築に向けた先導的な研究への貢献

<研究概要>
1990年代半ばから急速に進展してきた社会のデジタル化。インターネット上のサイバー空間での行政サービスやショッピングなど、私たちはすでにその恩恵を享受しています。さらに近年、生成AI(人工知能)に後押しされて、デジタルの世界はますます拡大し便利になっています。その一方で「私たちが利便性を得るために提供した個人情報やデータがどう扱われ、場合によっては不利益を被るのではないか」といったデジタル社会特有の懸念が広がっています。
シンシア・ドワーク博士は、こうした課題に対して数学的に厳密な枠組みを構築し、プライバシー保護、公平性、分散的信頼の原理を数理的に定式化し、「デジタル社会での倫理的問題を科学的に扱う学問領域」にまで高めました。
なかでも2006年に発表した「差分プライバシー(Differential Privacy)」は特に大きな成果で、データを利用しながら、背後にある個人情報の漏洩の危険度を数学的に議論ができるようになりました。それに先立つ1992年には、将来のメールの氾濫を予見し、その防止策として計算コスト負担を提案しました。このアイデアは現在では、「Proof of Work(PoW)」としてデジタル社会の安全性を保証する基盤技術となって普及しています。
現在、ドワーク博士はAIが差別を引き起こさない方策の研究を進めており、複雑化するデジタル社会においてその研究は重要度を増しています。

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審良 静男 博士

1953年1月27日(72歳 日本)
大阪大学先端モダリティ・ドラッグデリバリーシステム研究センター 特任教授
Specially Appointed Professor,
Center for Advanced Modalities and DDS (CAMaD), The University of Osaka

ジージャン・チェン 博士

1966年1月1日(60歳 米国)
テキサス大学サウスウェスタン・メディカルセンター 教授
Professor of Molecular Biology, University of Texas Southwestern Medical Center

<授賞対象分野>
「生命科学」

<授賞業績>
自然免疫システムによる核酸認識メカニズムの解明

<研究概要>
ヒトを含む動物はもちろん、植物や微生物に至るまで、「自己」と「非自己」を識別することは、生命が生き延びるための基本的な原理です。私たちの体もまた、ウイルスや細菌といった病原体に日々さらされながら、巧妙な免疫システムによって病原体を非自己と見分け、排除することで守られています。
その最前線で働くのが「自然免疫」です。自然免疫は、病原体の侵入をいち早く感知し、防御反応を開始する重要な役割を担っています。しかし、自然免疫がどのように病原体を見分けているのかは、大きな謎でした。
この問題に決定的な答えを示したのが、審良 静男博士とジージャン・チェン博士です。両博士は、病原体由来のDNAやRNAが、特徴的な構造を有していることや、細胞の中で本来あるべきではない場所に存在することに着目しました。そして、それらを危険な異物として感知するセンサータンパク質を発見し、その情報が細胞内でどのように伝えられ、免疫反応が引き起こされるのかという一連の仕組みを次々と明らかにしました。
これらの発見は、自然免疫という概念を確立し、自然免疫が抗体産生細胞などの獲得免疫系を教育するという、免疫システム全体に対する理解を一変させました。その成果は、新たなワクチンや免疫療法の開発にもつながり、医療や予防の発展に寄与する重要な知見になっています。

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