グーグル社副社長兼チーフ・インターネット・エバンジェリスト
コーポレーション・フォー・ナショナル・リサーチ・イニシアチブ会長、CEO、 社長
ヴィントン・サーフ博士(Dr. Vinton Gray Cerf)とロバート・エリオット・カーン博士(Dr. Robert Elliot Kahn)両氏は、世界中で広く使用されているインターネットへ発展したネットワーク基本概念を創出し、それを実現するために通信プロトコルを提唱して「インターネットの父」と称されている。両氏の貢献により、人類史上未踏のネットワーク社会が拓かれ、人々の生活空間が著しく拡大し、世界化を支える最も重要な基礎となっている。
両氏はインターネットへ発展した初期のネットワークの開発から関わり、サーフ博士はネットワーク制御に関する通信プロトコルの開発に、そしてカーン博士は分散型交換機の設計開発に貢献した。その後、両氏は現在のインターネット構造に繋がる基本的なネットワーク設計概念に関する研究を重ね、その過程で多種多様な機器をネットワークに接続する必要性から、共同で「開放型ネットワーク構造」の概念を提唱した。すなわち、多種多様な機器が発する情報に対して共通の仕様に基づく宛先などの情報を付加することにより、どのような機器、さらには、ネットワーク同士も自由に情報交換できるようにするという考え方である。その設計概念は、様々な組織や個人によって個別に構築された多様なネットワークが相互接続された「ネットワークのネットワーク」であるインターネットの基本概念に結実した。
この概念を実現するために、両氏は現在のインターネットで用いられている通信プロトコルであるTCP/IPを創成し、それを1974年に主要な学会誌に共著で発表した。このように、インターネットの通信プロトコルの開発は、両氏が初期の研究を通じて得た成果の上に共同で成し遂げられたものである。
インターネットの登場は、人類の生活様式を一変させるネットワーク社会を拓き、世界観を変え、文化と社会に多大な貢献を果たした。両氏はその後も情報通信の最前線において主導者として活躍し続けている。以上述べてきたように、両氏はインターネット概念の創成とその進展を推進し、現代の文化・社会の変革と発展に決定的な役割を果たし、2008年日本国際賞を授けるにふさわしい。